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2020 CG研究会:第3回「わが国会社法のガバナンス規整」

わが国の会社法は、会社の設立や運営ルールを規定した法律で、商法からの分離という形で2005年に成立した。その趣意は、➀国際化・スピード化が進む経済・企業の実態に合うように、➁定款で定められる事項の拡大(定款自治)、③会社形態の多様化、④M&Aに関する手続きの簡素化等を進める一方で、⑤大会社における内部統制システムの概要の開示を求めるなど、⑥経営の透明化を図ることにある。今回は、会社法が定める会社の種類を見た後、大会社を想定している株式会社に対する法的規整を概観し、最後に、法的規整の一つであるガバナンス規整について詳しく述べる。

限られた時間では説明しきれない重要な事柄がいくつかあるので、その説明を資料スライドの注として以下に示す。

1.持分 【スライド5】

-持分とは会社の所有権

・株式会社:出資者として株式を所有する社員の地位

・持分会社:出資者である社員としての地位

-会社の社員とは、誰に会社の経営を任せるかや、会社の経営方針等の重要事項を決定する権利を有する者をいい、その権利を持分equityという

-持分は会社への出資によって得る

・株式会社:株式の取得によって出資し、有限責任社員になることによって持分を得る

・持分会社:出資し、有限責任社員または無限責任社員になることによって持分を得る

 

2.会社財産を危うくする罪 【スライド12】

-会社法第963条は次のように定めている。

・裁判所又は創立総会もしくは種類創立総会に対し、虚偽の申述を行い、又は事実を隠ぺいしたとき

・五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金

・株式会社の計算において不正にその株式を取得したとき

・法令又は定款の規定に違反して、剰余金の配当をしたとき(いわゆる蛸配当)

・株式会社の目的の範囲外において、投機取引のために株式会社の財産を処分したとき

 

3.株式会社の規模等に応じた法的規整 【スライド10~12】

-株式会社は本来は大企業向けの企業形態であるが、数の上では中小規模の株式会社が圧倒的に多い

http://www.nta.go.jp/kohyo/tokei/kokuzeicho/kaishahyohon2002/menu/02.htm

-会社法は、会社の規模等に応じた規整を設定している

・大会社:資本金5億円以上または負債の合計額が200億円以上の株式会社は会計監査人による監査が強制される

・株主数:議決権を有する株主が1000人以上の株式会社は株主総会に際して株主に参考書類を送付し、書面投票の機会を提供する義務

・公開会社:譲渡制限のない株式を発行している会社(公開会社)には授権資本制度(既存株主の持分保護)

 

4.授権資本制度 【上の公開会社に対する規制】

-公開会社における経営者の権利のひとつ

・会社は設立時に「発行可能株式数」を定款にて定め、かつ設立時、その4分の1以上の株式を発行しなければならない

・発行可能株式数(授権株式数)の範囲内であれば、資金調達の必要に応じて株式発行できる制度

-制度導入の理由

・新株を発行することで既存株主の持ち株比率が低下したり、株価が下落したりしてする恐れがある

・発行可能株式数を定めておき、既存株主の利益を守る

・新株発行による資本調達は、株主価値創造のための重要事項であるが、必要の度に株主総会を開いて決定するとなると、経営の機動性が失われ経営効率悪化の恐れがある

 

5.種類株式 【スライド15】

-株式会社が、剰余金の配当その他の権利の内容(会社法第108条1項各号参照)が異なる2種類以上の株式を発行した場合、その各株式をいう

-普通株式以外のものを指すこともある

-会社法上は、「種類株式」という用語自体は用いていない。したがって、その定義もない。

 

6.東証の独立役員規定

-会社法には独立の概念はなく社外取締役の要件を定めているのみであるので、東証の独立役員がそれを補っている。

-東証は、一般株主保護の観点から、上場会社に対して、独立役員(一般株主と利益相反が生じるおそれのない社外取締役又は社外監査役をいう)を1名以上確保することを企業行動規範の「遵守すべき事項」として規定している。

-上場会社には、独立役員の確保に係る企業行動規範の遵守状況を確認するため、「独立役員届出書」の提出を求めています

-独立の典型例

a. 親会社または兄弟会社の業務執行者

b. 当該会社を主要な取引先とする者、もしくはその業務執行者または当該会社の主要な取引先もしくはその業務執行者

c. 役員報酬以外に多額の金銭その他の財産を得ているコンサルタント、会計専門家または法律専門家

d. 最近までa~cに該当していた者

-最近とは、例えば、株主総会の選任議案の内容が決定された時点

e. a~dおよび子会社の業務執行者の近親者

-近親者とは二親等以内の親族

以 上

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