JCGR 日本コーポレートガバナンス研究所

ブログ

2020 CG研究会:第3回「わが国会社法のガバナンス規整:Q&A」

わが国の会社法は、会社の設立や運営ルールを規定した法律で、商法からの分離という形で2005年に成立した。その趣意は、➀国際化・スピード化が進む経済・企業の実態に合うように、➁定款で定められる事項の拡大(定款自治)、③会社形態の多様化、④M&Aに関する手続きの簡素化等を進める一方で、⑤大会社における内部統制システムの概要の開示を求めるなど、⑥経営の透明化を図ることにある。今回は、会社法が定める会社の種類を見た後、大会社を想定している株式会社に対する法的規整を概観し、最後に、法的規整の一つであるガバナンス規整について詳しく述べる。

Ⅰ 会社法と会社の種類

 会社とは、出資者を社員とする団体であり、その目的は出資者への利益の分配である。したがって、一言で言えば、会社とは営利目的の社団法人である。会社は出資の形態により、株式会社と持分会社とに大別される。株式会社は、出資と引き換えに株式という権利を得るとともに有限責任を負う社員のみから構成される団体で、社員は業務執行権限を有しない。それに対して、持分会社は、有限責任社員のみで構成される合同会社、無限責任社員のみの合名会社、および有限責任社員と無限責任社員とで構成される合資会社の三つがある。原則として社員は業務執行権限を有する。

Ⅱ 株式会社に対する法的規整

1.開示制度 2.ガバナンス規整 3.会社債権者保護規整 4.会社役員に対する義務・責任および罰則(民事責任 刑事責任)

Ⅲ ガバナンス規整の変遷

現代の株式会社のガバナンス体制(英米流)は、取締役会が選任した執行役員の業務執行(=マネジメント)に対する取締役会の監督という構図になっている。しかし、明治23年制定の旧商法は基本的意思決定を行う株主総会業務執行を行う取締役監督を行う監査役の3機関を置いており、現代のガバナンス体制とは異なる。この体制は1950年に英米法的な取締役会制度(取締役会のガバナンス)が導入されるまで続いた。しかし、導入後も監査役制度が残されたことから、監査役会のガバナンスと取締役会のガバナンスの二頭立てになり、ガバナンス体制が複雑かつ曖昧になり、事実上は、取締役会のガバナンスが形骸化した。企業の不祥事等に伴うガバナンス改革は事実上、監査役制度の改革によって行われてきた。2002年の商法改正により委員会等設置会社が導入されてからは監査役会設置会社と委員加藤設置会社の選択制になり、改革も二本立てになった。レクチャーでは2002年商法改正以降をとりあげる。

日本の監査役制度は非常に特殊であるがそれについての論考はコラム「日本の監査役制度」に掲載したので是非一読されたい。

Ⅳ 公開大会社のガバナンス体制

公開会社」とは、譲渡制限を定めていない株式を一部でも発行している会社をいい、「非公開会社」とは、発行株式全部について譲渡制限を定めている会社をいう。会社法上は、公開会社=上場会社、非公開会社=非上場会社ではない。
「大会社」とは、資本金の額が5億円以上または負債の額が200億円以上である会社をいう。日本の会社の大半は中小企業であり、かつ大会社に該当しないので、会社法の機関設計も「非公開会社」かつ「非大会社」を基本形としている。「公開会社」かつ「大会社」には特則を定めることになっている。このパートのタイトルは「公開大会社のガバナンス体制」となっている。

Q&Aセッションはこちら

 

配付資料資料の注) 限られた時間では説明し仕切れない事柄がいくつかあるので、スライドの注という以下に示す。

1.持分 【スライド5】

 持分とは、一般に共有財産などに対する所有権(の割合)をいう。株式会社の場合には出資者としての所有権を持分といい、持分会社の場合には、株式を発行していないので、そのまま持分という。会社の社員(=出資者=所有者)は、所有権に基づき、誰に会社の経営を任せるかや、会社の経営方針等の重要事項を決定する権利をしているので、その権利を持分equityというのである。換言すれば、社員は会社に出資することによって、持分という権利を得る。株式会社の場合には、株式の取得によって出資し、有限責任社員になることによって持分を得る。他方、持分会社においては、出資し、有限責任社員または無限責任社員になることによって持分を得る。

2.会社財産を危うくする罪 【スライド12】

 会社法第963条は次のように定めている。➀裁判所又は創立総会もしくは種類創立総会に対し、虚偽の申述を行い、又は事実を隠ぺいしたとき、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金を課する。➁株式会社の計算において不正にその株式を取得したとき、➁法令又は定款の規定に違反して、剰余金の配当をしたとき(いわゆる蛸配当)、③株式会社の目的の範囲外において、投機取引のために株式会社の財産を処分したとき、懲役もしくは罰金の刑を受ける。

3.株式会社の規模等に応じた法的規整 【スライド10~12】

 株式会社は本来は大企業向けの企業形態であるが、数の上では中小規模の株式会社が圧倒的に多い

http://www.nta.go.jp/kohyo/tokei/kokuzeicho/kaishahyohon2002/menu/02.htm

 会社法は、会社の規模等に応じて次のような規整を設定している。➀会社の規模に応じて:資本金5億円以上または負債の合計額が200億円以上の株式会社は会計監査人による監査が強制される。➁株主数に応じて議決権を有する株主が1000人以上の株式会社は株主総会に際して株主に参考書類を送付し、書面投票の機会を提供する義務がある。③公開会社:譲渡制限のない株式を発行している会社(公開会社)には授権資本制度(既存株主の持分保護)が適用される。

4.授権資本制度 

 授権資本制度とは、公開会社における経営者の権利の一つである。会社は設立時に「発行可能株式数」を定款にて定め、かつ設立時、その4分の1以上の株式を発行しなければならないが、その後は、発行可能株式数(授権株式数)の範囲内であれば、資金調達の必要に応じて株式発行をできる制度である。この制度が定めれている理由は次の通りである。新株を発行することで既存株主の持ち株比率が低下したり、株価が下落したりしてする恐れがあるので、発行可能株式数を定めておき、既存株主の利益を守る必要がある。他方、新株発行による資本調達は、株主価値創造のための重要事項であるが、必要の度に株主総会を開いて決定するとなると、経営の機動性が失われ経営効率悪化の恐れがあるからである。この両方のための安全を守るのが授権資本制度である。

5.種類株式 【スライド15】

 株式会社が、剰余金の配当その他の権利の内容(会社法第108条1項各号参照)が異なる2種類以上の株式を発行した場合、その各株式のことをいう(優先株、劣後株など)。したがって、単に普通株式以外のものを指すこともある。ただし、会社法は、「種類株式」という用語自体は用いていないし、したがって、その定義もなされていない。

6.東証の独立役員規定

 会社法には役員の独立性の概念はなく、社外取締役の要件を定めているのみである。そこで、東証の独立役員規定がそれを補っている。東証は、一般株主保護の観点から、上場会社に対して、独立役員(一般株主と利益相反が生じるおそれのない社外取締役又は社外監査役をいう)を1名以上確保することを企業行動規範の「遵守すべき事項」として規定するとともに、上場会社には、独立役員の確保に係る企業行動規範の遵守状況を確認するため、「独立役員届出書」の提出を求めており、独立に反する典型例を列挙している。a. 親会社または兄弟会社の業務執行者 b. 当該会社を主要な取引先とする者、もしくはその業務執行者または当該会社の主要な取引先もしくはその業務執行者 c. 役員報酬以外に多額の金銭その他の財産を得ているコンサルタント、会計専門家または法律専門家 d. 最近までa~cに該当していた者。なお、最近とは、例えば、株主総会の選任議案の内容が決定された時点 e. a~dおよび子会社の業務執行者の近親者。ここに、近親者とは二親等以内の親族をいう。

以 上

Q&Aセッション

Q01:テキスト15頁にありますように、2002年の商法改正は国家の威信をかけて、50年ぶりの大改革であったと思っています。しかも、そのメインテーマはまさに『コーポレートガバナンス実現のための法整備』であったはずなのですが、テキスト30頁にあるとおり、『委員会等設置会社』(当時の呼称)はわずか60社に過ぎません。あの時の熱気はどうなってしまったのでしょうか。また、この指名委員会等設置会社が今後増加する可能性はあるのでしょうか。監査委員会等設置会社のような妥協の産物では、米国のようなダイナミズムは生まれて来ず、当初、政府が目指したガバナンス改革は(実質的に)未完成に終わってしあうのではないではないのでしょうか。(武 正雄)

A01:日経新聞(2019/7/13)が三井住友信託銀行の調べとして報じているところによると2019年6月末現在、全上場企業3739社のうち監査等委員会設置会社1027社(27.5%)、監査役会設置会社2634社(70.4%)、指名委員会等設置会社78社(2.1%) である。なお、2020年6月13日現在の上場会社数は3827社)世界の潮流と言える三委員会設置会社はたったの2.1%です。20年ぐらい前だったと思うが、経営改革で有名だった半導体製造会社の社長とガバナンスに関して懇談した際、社長が言われるには「日本では会社法は監査役会制度を定めているので、三委員会のような制度は取り入れたくてもできない」とのことであった。その会社は現在も監査役会設置会社です。「法律が違う」ということは言い訳に過ぎなかったということがよく分かります。2.1%という数字は、日本の上場会社が三委員会制度を入れたくないと考えていることの象徴であると考える。

 時間の関係で、講義で話せなかったことを補いつつ、以下、日本の三つの統治機構についてあらためて整理する。(未定稿)

(1)指名委員会等設置会社

 指名委員会等設置会社の基本的な精神は、業務執行と監督の分離である。そのために必要な機関として、取締役会、指名委員会、報酬委員会、監査委員会、執行役、会計監査人の設置が求められている。ガバナンス(監督)機関である各委員会は3人以上で構成され、取締役の中から取締役会の決議によって選定される。各委員会の委員のうち過半数は社外取締役でなければならない。他方、取締役会は業務執行役員として執行役を選任する。(執行役を複数選任する場合は代表執行役も取締役会で選定する。)します(420条)。取締役会は、執行は行わず執行方針の決定と監督に専念する。取締役の任期は1年であり、定款でさらに短縮することもできるが伸長はできない。

 指名委員会等設置会社では各委員に最低3人の取締役が必要となるが、各委員は兼任することができる。2人の社外取締役と1人の(社内)取締役が各委員を兼任すれば取締役の数は最低3人でいいことになる。執行役は取締役を兼任することもできるが、監査委員とは兼任できないので執行役を兼ねない取締役が一人必要である。会計監査人1人と合わせて最低5人(社外取締役2人+執行役兼取締役1人+取締役1人+会計監査人1名)で成立する。

 指名委員会等設置会社を採用する最大のメリットは欧米を始めとする海外の投資家の信頼を得やすいという点です。日本では、監査役制度に馴染みがあるが、欧米ではむしろ委員会設置会社が普通であるので、監査役制度は分かりにくいと言われる。投資家あるいは国際化の観点からは、経営の透明性という点で指名委員会等設置会社の方が勝っていると言える。一方で、日本の会社の立場からは3つの委員会の設置や運営、社外取締役の確保等の観点からが必要であり負担が大きいと感じられていると言われる。

(2)監査等委員会設置会社

 監査等委員会設置会社に必要な機関は取締役会、監査等委員会、会計監査人である。監査等委員は取締役の中から選定するのではなく、はじめから監査等委員になる取締役として株主総会で選定される。監査等委員は最低3名必要で過半数が社外取締役である必要がある。取締役の任期は通常の取締役が1年で監査等委員である取締役は2年である。監査等委員である取締役の任期は短縮も伸長もできない。なお、監査等委員に関しては監査役のような独任制はないので、内部統制システムを用いた組織的監査が想定されている。

 監査等委員会設置会社も、監査等委員である取締役3人、業務執行を担当する取締役1人、会計監査人1人で最低5人ということになる。

(3)監査役会設置会社

 機関構成は、監督を行う取締役会、監査を行う監査役会、業務執行を行う取締役および会計監査人である。取締役の任期は原則2年であるが1年に短縮することが可能である。監査役の任期は4年である。

 取締役の人数は3人以上と定められているが、常勤・非常勤の区別はない(法人税法上は区別される)。監査役会は3人以上の監査役が必要であり、その半数以上が社外監査役でなければならない。また1名以上の常勤者―常勤監査役―必要である。現行では、指名委員会等設置会社、監査等委員会設置会社および監査役会とも、機関の最小人数は5人である。

 なお2019年改正会社法で(2021年施行)2名の社外取締役の設置が義務づけられた。その結果、監査役会設置会社の機関における最小人数は7人となり、他より多くなる。

(4)企業の観点からの三取締役会の比較

指名委員会等設置会社においては、取締役会の中に、指名委員会(株主総会で選任される取締役選任議案を決める委員会)、報酬委員会(取締役の報酬を決める委員会)、および
監査委員会(監査機関)があり、いずれも委員の過半数が社外取締役からなっている。その社外取締役が、事実上、会社の取締役を決め、執行役の報酬額を決めるので、会社の間で任期がないと言われる。他方、監査等委員会設置会社における監査等委員会は指名、報酬に関して意見を述べることができるが、そのプロセスに関与するわけではないので影響力が小さい。しかも、委員会は一つであるので、指名委員会等設置会社の三つに比べると負担がはるかに小さい。指名委員会等設置会社より監査等委員会設置会社の方が会社にとっては好ましい。

 監査役会設置会社対監査等委員会設置会社の優劣はいかがであろうか。両者を比較すると、監査役は3名以上で過半数は社外監査役、監査等委員も3名以上で過半数は社外取締役であり、社外性という点では同格であるが、独立性という点では監査役会設置会社の方が勝る。しかし、監査役会は、取締役会からは独立した、取締役の業務及び会計を監査する機関であるのに対して、監査等委員会は、取締役会の下に設置された機関である独立性には疑問が残る。

 監査等委員会設置会社が急増しているということは、監査役会設置会社が雪崩を打つように監査等委員会設置会社に移行しているということである。2019年改正会社法が施行されると、監査役会設置会社には社外取締役2名の設置義務が生ずる。そうすると社外役員(取締役+監査役)が4名必要ということになる。その上、監査等委員会は指名・報酬の香りがしており、ガバナンスの観点から見栄えがよいと考えられている。監査役会設置会社が廃止され監査等委員会設置会社に移行している理由であると言われている。

 なお、2014年会社法改正で監査役会設置会社には「社外取締役を置くことが相当でない理由の説明」が求められ、事実上の社外取締役必置義務は始まっていた。それが、当初から監査等委員会設置会社への移行が進んでいた背景であると言われる。

(5)真のコーポレートガバナンスの観点から

 監査等委員会設置会社はすでに1000社以上が導入しており順調に増加している。多くのガバナンスビジネス関係者は、海外の投資家や金融機関等から見れば、やはり指名委員会等設置会社のほうが信頼性は高く、運営の透明性をアピールできると指摘している。しかし、見栄えや見かけの問題でなく、「経営者(業務執行役員)から委託者である株主にとって優良な経営を引き出す」というコーポレートガバナンスの目的からは、独立な取締役会が業務執行役員を指名・報酬・監査という機能で厳しく監督することが望ましい。株主側も経営者側もコーポレートガバナンスを正しく理解し、心と魂のこもったガバナンス改革を進めることが不可欠である。その意味で、武さんの憂慮は残念ながら当を得ていると言える。

 優秀なプロのスポーツ選手は、優秀なコーチを付けプロスポーツ選手としてのモチベーションや技術について始動を受けつつ、必死の努力をしている。経営者と取締役会の関係にも似たところがある。敢えて極言するが、その点、日本の経営者の多くが、自分が一番えらい ― 必ずしも経営能力があるとは思っていないが会社の中では一番権力があることを自覚しており - 自分のやりたいように経営をしている。ここにこそ改革の必要があるのではないか。

Q02:先生のご講義の中で、監査等委員会設置会社につき「中途半端」な制度であるとのお話がございました。当職もそのような印象を持っております。

例えば、監査等委員会設置会社を導入する企業の動機が「社外役員が2名ですむため」といった事例も見受けられ、ガバナンスの趣旨からは外れた運用となっている実態がございます。

他方、昨今、天馬株式会社において、監査等委員会から「6月27日開催定時株主総会の会社側が推薦する取締役候補者は不適切」とする意見が出され、ついに抜かずの宝刀が抜かれたなどと話題になっております。

このような状況の中、現在、監査役会設置会社として監査役による監査が有効に機能しているような会社において、監査等委員会設置会社に移行することを検討する必要性・有効性がどの程度あるのか(指名委員会等設置会社についてはいったん置いておいて)、迷うところも多く、先生の率直なご意見をお聞きしたく存じます。(野村 彩)

A02:私も大会社2社で社外監査役を務めた経験がありますので、監査役が一生懸命に職務を遂行し与えられた使命を果たしていることはよく理解しています。しかし、日本の監査役制度の歴史的経緯から監査役の職務には自ずと限界があります。ドイツの影響を受けた旧商法(1890年)が定められた当初から、監査役には取締役の業務執行に対する監督権限と会計に対する監査権限とが付与されました。しかし、1950年(昭和25年)の商法改正で英米流の取締役会制度が導入されると、取締役の業務執行に対する監督は取締役会の自己監査になり、監査役の職務は会計監査だけになりました。その後、証取法(現金商法)との整合性を保つため、業務監査権限が回復されましたが、適法性の監査に限定されました(私としては、実質的には効率性の監査も対象となっていると思います)。その後、企業不祥事が再発する度に、監査役の地位強化、権限強化など図られてきましたが、相変わらず不祥事は続いています。私は、監査役が業務監査を行うという制度には無理があるので、内部監査部門を強化すべきであると考えています。(日本の監査役制度についてはコラムを読んで下さい。)

 内部統制システムの利用を前提としてる監査等委員会設置会社の方が「仕組み」の点では優位があると思います(内部監査が形骸化している企業が少なくないので内実には問題があります)。さて、ガバナンスという観点から監査役会設置会社を見ると、取締役会に指名および報酬の機能が付与されていないことが問題だと思います。もちろん、最近は上場会社のほとんどが任意の指名委員会や報酬委員会を設置していますし、かつ、社外取締役2名の設置も来年から義務化されますので、監査役会設置会社のガバナンス体制は進化する可能性がありますが、独立取締役の概念がない会社法の下では限界も大きいのではないかと思います。

その点、指名・報酬の機能が制度として付与されている監査等委員会設置会社の方が望ましいと思います。しかし、企業が内実としてそれをとらえていないことに懸念を感じています。会社法におけるガバナンス改革は社外取締役にこだわっており、監査等委員会設置会社を導入したのも社外取締役を普及させるためでした。動機が不純であす。不純な動機で始めたことは必ず形骸化し失敗します。「中途半端」と言ったのはそのことです。

そのような中、天満の監査等委員会はよく頑張ったと思います。監査等委員に経緯を表します。

しかし、武さんの質問にも答えましたように、形より日本人の株式会社に対する考え方、コーポレートガバナンスへの理解が大前提です。逆に言えば、形-監査役会設置会社、監査等委員会設置会社、指名委員会等設置会社-の問題は二の次であり、正しいコーポレートガバナンスを実現するという精神が大事だと考えています。「仏作って魂入れず」では意味が無いということです。

ただ、「形から入る」、スポーツで言えば「フォームから入る」というアプローチもありますから、100%断言すべきでないということも理解しています。(若杉敬明)

Q03-1:スライド35頁の「監査等委員会設置会社および指名委員会等設置会社では、委員会が監査権限を有し、委員である取締役は内部監査部門を通じて監査活動(組織監査)を行うことが想定されている」についてですが、監査等委員会として、内部監査部門を通さずに、直接、監査することもありえる(特に常勤監査等委員を設置している場合)と理解しておりますが、わざわざ「内部監査部門を通じて」と記載されておられる理由をお教えいただけますでしょうか。(村田 恒子)

A03-1:監査等委員会による取締役の職務執行の監査については、上述のように内部統制システムを用いた組織的監査が想定されています。そのため、監査等委員会設置会社の取締役会は、内部統制システムの整備に関する決定を行うことが義務づけられています。ただし、監査等委員会が選定する「選定監査等委員」は監査の権限を有していますが、組織的監査が有効に行われないときなどに行使されるもので、監査役が個人で自由に監査ができる独任制とはまったく異なります。(若杉 敬明)

Q03-2:知人の元監査役が、昨年、実際に経験したケースですが、任期4年で物言う監査役を疎ましく思った経営者が、監査役を退けるために、監査等委員会設置会社に機関変更させることによって、事実上、監査役を任期途中で辞めさせたケースがございました。もちろん大会社ではそのような事態は生じにくいとは思いますが、IPO上場前の小規模な監査役設置会社に対して、証券会社がこのような方法があるということをアドバイスしているそうです。コーポレートガバナンスの正常化と監査役の権限を守り、このような実態を防止するために、どのような対抗策があるのか、先生のお考えをいただけますでしょうか。(村田 恒子)

A03-2:監査役は、株主総会の特別決議により解任決議が承認されない限り、任期途中で解任されることはありません。 また、監査役は、解任議案を決議する株主総会で意見を述べることができますし、解任された監査役は、その解任について正当な理由がある場合を除き、会社に対し、解任によって生じた損害の賠償を請求することができます。しかし、監査等委員会設置会社への移行は、そもそも監査役の制度が廃止され新しく監査等委員である取締役が選任されることになる制度変更であり、連続的変更ではありませんから、対抗措置はないと考えます。(若杉 敬明)

 

page top