JCGR 日本コーポレートガバナンス研究所

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SIRモデルでコロナシミュレーション: A Toy Model

JCGR理事/専修大学商学部教授

大林守

 コロナウイルスをはじめとする感染症に関してはSIRモデルという基本的なモデルがあります。SIRは、Susceptible, Infected, Recovered Modelの略です。学生用に最も単純なモデルをExcelファイル(SIRmod.xlsx)で配布したので、共有したいと思います。

 モデルは3変数(うつってしまった感染人口I、うつるかもしれない感受人口S、治ってしまった免疫人口R)と3係数(感染率λ、回復率γ、一定の総人口数)のみです。モデルで変化させる係数(パラメータ)は感染率λと回復率γです。仮に、ある感染者(キャリア)の感染力(感染させる確率)が1万分の1とし、単位時間に5人と接触すると仮定すると、1万分の5(0.0005)が感染率λとなります。単位時間あたり感染者の25パーセントが免疫を持ち回復する場合、回復率γは0.25となります。1000人の総人口に最初の感染者1人を仮定します。

これだけ準備ができれば、後はExcelファイルを添付しましたので、ダウンロードしてみてください。最初の5期までを出します。

SIRモデル(Susceptible, Infected, Recovered Model)

 

感受人口

感染者数

免疫人口

t

S(t)

I(t)

R(t)

0

1000.00

1.00

0.00

1

999.50

1.25

0.25

2

998.72

1.80

0.48

3

997.60

2.58

0.82

4

995.99

3.71

1.31

5

993.68

5.32

2.00

 結果を図示したのが以下です。通称エピグラフと言われているものです (epidemic: 疫学的)。今の想定では、28期に感染人口Iのピークを迎え、その後収束していきます。

 モデルシミュレーションを手軽に行うために、モデル係数を変化させることができるようにしてあります。まず、Excelシートの黄色の部分に数値を入れるとモデルの係数をパーセントで変化させることができます。感染率を25パーセント増加させる場合には数字で25を入れます。回復率を25パーセント減少させるには数字でマイナス25を入力します。

 

感染率

 

回復率

 変化分

  25.00%

 変化分

 -25.00%

    λ=

  0.00050

    γ=

  0.25

 

  0.00063

 

  0.19

 

  0.00063

 

  0.19

 

  0.00063

 

  0.19

 シミュレーション結果は自動的に図が変化します。感染者のピークが早まり、かつ爆発的に増加していますが、免疫獲得は早くなっています。ただし、このモデルでは免疫人口に死亡者が含まれています。

 Excelシートのオレンジ色の部分を個別に変更すれば、様々なケースを作りだすことができます。ロックダウンで感染率を下げたり、解除して感染率を上げたり、医療崩壊で回復率が悪化したり、医療体制の整備や治療方法の発見で回復率が向上したりという想定を細かく設定することができます。

 こういったモデルに統計的にきちんと日本の感染率と回復率を推計して入力すると現実を描写するモデルになります。さらに、感染率と回復率を決定する要因を精査すれば、様々な政策の効果も計算できます。ただし、そういったことをするなら、もっと精緻なモデルでやった方が賢いので、このレベルではこの程度が適度なモデル利用方法だと思います。お楽しみください。

 なお、数式があった方が分かりやすい方は、以下をご覧下さい。

感染人口の変化は、感染人口Iと感受人口Sに関して感染率λで比例すると仮定します。感受人口Sの変化は感染人口Iの裏返しで、感染人口増加分だけ感受人口は減少します。免疫人口Rは、感染人口Iに回復率γで比例します。このモデルでは、キャリア1人が登場すると、感受人口に感染率λを介して感染人口Iが決まり、回復率γを介して免疫人口Rを決めるようになっています。なお、免疫人口には死亡者も含まれますのでご注意ください。

数式では以下となりますが、Excelファイルに組み込んであるので、確認する程度にご覧下さい。

S(t)-S(t-1)=-λS(t)I(t)

I(t)-I(t-1)= λS(t)I(t)-γI(t)

R(t)-R(t-1)=γI(t)

以上

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