JCGR 日本コーポレートガバナンス研究所

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2021コーポレートガバナンス研究会 第6回「指名/コーポレートガバナンス委員会とCEOサクセッション」

今月から研究会は取締役会のガバナンスの各論に入ります。その第1回は指名/コーポレートガバナンス委員会です。NYSEの上場会社マニュアルは指名/コーポレートガバナンス委員会の憲章を作成することを求めています。その事例としてネオジェノミクス株式会社の委員会憲章を紹介します(最後尾)。後半では21世紀に入ってから注目を浴びているCEO Succession PLanningについて紹介しますので、個々ではなぜCEOの後継者問題が注目を浴びているかを紹介します。

《A》取締役会における多様性の必要性

 ASX(オーストラリア証券取引所)の「コーポレートガバナンス原則と勧告」第4版(2019)は次のように言っている。

 「多様性は、特に競争の激しい労働市場において、上場企業の資産であり、総合的なパフォーマンスの向上に寄与するものと考えられるようになってきています。取締役会又は取締役会の委員会が設定する多様性の目標は、監視及び測定が可能であり、かつ、測定される、適切かつ意味のあるベンチマークを含むべきである。これには、例えば以下のようなものが含まれます
 - 指定された期間内に、取締役、上級管理職、および従業員に占める女性の割合の具体的な数値目標を達成する。
 -将来の上級管理職への引き継ぎを考慮できる多様な人材のパイプラインを構築するために、特定の期間内に主要な業務上の役割における女性の割合について特定の数値目標を達成すること
 -職場男女共同参画法の「男女共同参画指標」の具体的な目標を達成すること。ダイバーシティ・ポリシーの導入」や「ダイバーシティ・カウンシルの設立」のような数値によらない目標や、「インクルージョンの文化の実現」のような意欲的な目標は、個々には価値があっても、適切な数値目標で裏打ちされていなければ、ジェンダー・ダイバーシティの改善には効果的ではないと思われます。取締役会または委員会は、責任範囲内のジェンダー参加に関する上級管理職の主要業績評価指標を設定し、報酬の一部を(直接または「バランススコアカード」の一部として)これらのKPIの達成に関連付けることを検討するとよいでしょう。」

《B》取締役会のスキルマトリックス(コンピテンシーマトリックス) 

1.スキルとコンピテンシー 

◆スキルとは、与えられた仕事をうまくこなすために必要な、具体的な学習能力のことです。例えば、会計処理やコーディング、溶接や入札書の作成など、職種によってさまざまです。しかし、ハードスキルとソフトスキルには違いがあります。ハードスキルは、専門家が特定の資格や専門的な経験を通じて示すことのできる、技術的で定量化可能なスキルであるのに対し、ソフトスキルは、特定の職業にあまり根ざしていない、非技術的なスキルである。例えば、ハードスキルの例としては、コンピュータプログラミングや外国語の能力などがあり、ソフトスキルの例としては、時間管理や言葉によるコミュニケーションなどが挙げられます。
コンピテンシーとは、仕事で成功を収めるためのその人の知識や行動のことです。コンピテンシーの例としては、ビジネスプロセスの改善、戦略的計画、データに基づく意思決定などが挙げられます。コンピテンシーは、個人の行動が、その役割において望ましい結果をもたらすことを効果的に説明します。スキルと同様に、コンピテンシーにもさまざまな種類があります。コアコンピテンシーとは、成功した従業員が組織の中で昇進するために必要なコンピテンシーのことです。マーケターのアジャ・デイビス・アイブルは、「コアコンピテンシーとは、あなたの中核となるものであり、あなたがどのように働くのかを示すものである。

  • ハードスキルの例:Team Building、Writing Skills、Strategic Management、Speaking and Listening Skills、Data Management、Persuading and Influencing Team Members、Planning and Organization
  • コアコンピテンシーの例: Problem-solving、Time management、Teamwork、Responsibility、Focus、Adaptability、Conscientiousness

https://social.hays.com/2019/10/04/skills-competencies-whats-the-difference/

2.スキルマトリックスvsコンピテンシーマトリックス

 上述のようにコンピテンシーは能力であり、スキルは通常、学習されたタスクのことである。例えば、コンピテンシーは才能や習慣から発展する場合もあれば、1つまたは複数のスキルから構成される場合もある。一方、スキルとは、学習された能力のことです。スキルは、才能や興味によって高められることもあります。コンピテンシーは、スキルやスキルセットを含むカテゴリーと考えるとよいかもしれません。
 スキルマトリクスとは、組織、グループ、チーム内の個人のスキルやコンピテンシーを明確に把握するためのビジュアルツールであり、スキルマネジメントの一部である。スキルマネジメントの主な目的は、人とそのスキルおよびコンピテンシーを理解し、組織を開発し、活用し、そのパフォーマンスを分析するためのツールである。そこではスキルとコンピテンシーの両者が総合的に評価されるので「コンピテンシーマトリックス」とも呼ばれる。

3.取締役会のスキルマトリックス

「他の人のスキル/コンピテンシーが不足していることを批判するためのものではない。重要なのは、他の人のスキル/コンピテンシーの価値と有効性を認識し、集団の目的を達成するために必要なスキル/コンピテンシーを持つ人を組み合わせることである。」J.B. Reid, Commonsense Corporate Governance, Sydney: AICD, 2002

スキルマトリックスは開示するために作成されるものではない。ある部門の目的を効率的・効果的に達成するためには、それに相応しい人的構成を実現することが望ましい。部門をとりまく環境が変化すれば人的構成も替えなければならない。その際に利用されるのがスキルマトリックスである。取締役会に関しても同様である。マネジメントのパフォーマンスを最大化するためには取締役会の能力を変えることが必要なこともある。そのような場合、取締役の入れ替えや取締役の新規採用が必要になるであろう。取締役会のスキルマトリックスが活用される所以である。

スキルマトリックスは投資家に開示されるために作成されるものではない。取締役会の自己評価、実効性評価には生かされ開示につながるであろうが、あくまでもその本来の目的は取締役会構成の最適化という取締役会の内部管理が目的である。スキルマトリックスは特に取締役の選任の際に利用される。

以下は”Board skills: building the right board”からの引用である。https://www.effectivegovernance.com.au/page/knowledge-centre/news-articles/board-skills-building-the-right-board
取締役選任
ますます多くの取締役会が、より構造化された専門的な取締役選定プロセスに取り組んでいます。そのようなプロセスでは、一般的に以下の点が考慮されます。
 -戦略的方向性とスキルの整合性。
 -現在の取締役会の構成に付加価値があるかどうか
 -取締役会との文化的適合性
 -効果的な貢献者となるために必要な時間、および
 -サクセッションプランニング。
 
適切な取締役会を構築するには、取締役の経験、スキル、属性、能力を考慮した上で、取締役のコンピテンシーを理解する必要があります。取締役のコンピテンシーには、技術的コンピテンシーと行動的コンピテンシーという2つの異なる領域があります。技術的コンピテンシーとは、会計や法律のスキル、業界知識、戦略立案やコーポレート・ガバナンスの経験など、ディレクターの技術的なスキルや経験(「知っておくべきこと、できること」)を指します。行動的コンピテンシーとは、ディレクターの能力と個人的特性(「知っていることをどのように適用するか、個人的・対人的スキル」)であり、例えば、「オーナーシップ」との関連性、人や状況に積極的に影響を与える能力、複雑な情報を吸収・統合する能力、時間的余裕、正直さと誠実さ、高い倫理基準などが含まれます。(若杉注:第三のコンピテンシーとしてリーダーシップが挙げられることがある)
 
取締役会は、取締役の資格や経験を記載した履歴書では明らかにならない取締役の能力にあまり注意を払わないことが多い。そのため、取締役会は以下のような能力を持つ取締役の組み合わせを必要としているかどうかを検討する必要があります。
 
 -複雑な情報を素早く吸収し、総合的に判断することができる。
 -説得力のある議論を展開し、提供する。
 -革新的であり、枠にとらわれない考え方をする。
 ー問題を詳細なレベルと「大局的な」レベルの両方で理解する。
 ーすべての取締役は、取締役会で簡潔かつ効果的に主張する能力を持つ必要があり、決して話さない「サイレント」な取締役や、すべての議論を支配しようとする「ラウドマウス」な取締役になることはありません。
 -個人を取締役として再任、指名、任命する前に、取締役会は以下を行うべきである。
 
 -ある取締役会に必要とされる特定の能力やスキルは、他の取締役会に必要とされるものとは異なる可能性があることを認識した上で、取締役会全体としてどのような能力やスキルを持つべきかを検討する。
 -現職の取締役がどのような能力とスキルを持っているかを評価する。一人の取締役が必要とされる能力やスキルをすべて持っていることはあり得ないので、各個人がそれぞれ貢献するグループとして取締役会を考えるべきである。
 -取締役の性格と、現在の取締役会の文化との適合性を検討する。検討に値する属性としては、自己認識、誠実さ、高い倫理基準などが挙げられます。ボードルームのダイナミクスは、存在するパーソナリティや行動タイプによって影響を受けるため、これらの資質にも注意を払う必要があります。(翻訳はDeepLによる)
 

《C》CEO後継者育成計画 CEO Succession Planning

Ⅰ 米国企業ではなぜCEO後継者育成が関心を集めているのか
 -CEOの育成・選任に関する認識の変化の背景-

1.現代の企業環境下では正しい後継者選びが重要との認識の定着
 ① 経済環境の変動が激化 ② 地球規模で不確実性が増大 ③ 先進国の経済縮小・発展途上国の台頭

2.ミラー効果の弊害
 米国でも、従来はCEO自身が後継者を選ぶのが一般的であった。しかし、行動心理学の発展とともに、その後継者選びには心理的バイアスが伴いやすいことが認識されるようになった。それは、CEOは自分自身に似た人物を後継者として選ぶ傾向があるという癖でミラー効果(Mirror Effect)と呼ばれる。CEOはこれからの事業環境を考えると、自分では限界があると感じるから後継者に譲ろうとする。将来は過去・現在とは異なるという自覚であるから、むしろ自分とは異なるタイプの人材に会社の将来を託すべきである。自分と似たような経営者を選んでは会社の未来に期待できない。実際、多くの会社が後継者選びの失敗で経営破綻の憂き目にあって来た。

3.HR関連指標と企業業績の相関関係
 多数の調査・研究が、外部採用のCEOは内部昇格のCEOよりもパフォーマンスが低く、在任期間も短くなりがちであることを指摘している。外部採用のCEOが業界や会社のことが分るようになるにはそれなりの時間がかかる。会社の文化・風土を理解しないまま外部者を経営トップに据えることの危険性が懸念されてきたが、多くの実証研究が蓄積されそれが科学的に証明されたのである。この事実を受け、企業が自発的に、会社に対するロイヤリティの高い、内部昇格組を重視するようになってきている。

4.人材引き留め策
 経営者の人材難が続く中、市場は経営者の奪い合い状態である。その結果、外部から招いたCEOの報酬は高騰を続けている(それにともない内部昇格のCEOの報酬も高くなっている)。それならば社内でCEO人材を育成しようという動きが出るのは当然のことである。しかし、優秀な人材には外部から魔の手が伸びる。まごまごしていると将来を有望視されている人材が引き抜かれてしまう。社内で早期に有望な人材を選抜し、本人に将来のCEO候補であることを自覚させつつ、社内でキャリアを高めるために適切なエリート教育を施すことが必要であるとの認識が広まっている。最近では、社内人材の経営陣への昇進率を経営指標にする企業が増加しているとも言われる。

5.投資家の関心
 企業内の人材育成の動きに対応して投資家が企業価値を評価する際、財務指標のみならずサクセッション・プランにも注目するようになってきたと言われる。次のようなことを考慮して、企業のリスクマネジメント・レベルを評価する投資家が出てきたのである。すなわち① 将来起こりうるCEOの交代にどのように備えているのか  ② 不意のCEO交代時に対応できる人材パイプラインが作られているか。後者②のような場合、急場しのぎにCEOを外部から採用すると、長期的展望のない企業と判断され、株価が下落するケースが見られるようになっている。

6.企業の変容
 間違ったCEO選びが、会社の将来を簡単に狂わせる事実が頻発し、企業自身がCEOの後任問題に真剣に取り組むようになってきた。多くの企業が、CEO自身が人事部門・研修部門等からの報告を定例化し会社の将来を支える人材がどのようにどれだけ用意されているか(パイプライン)に常に配慮し、合理的な後継者育成に取り組むようになっている。人材コンサルタントも有望なマーケットとして力を入れている。

7.まとめ
 「CEO Succession PlanningはCEOが責任を持って行う」というのが現代の米国企業における基本認識になってきた。去りゆくCEOが後継者指名に大きな影響を与えるという従来の慣行が一見続いているように見えるが、①取締役会がCEOの後継者育成プログラムの運営を監視しより多面的な視点から社内外の人材を評価するようになってきたことや、② 取締役会の監視の下、CEO自身がCHRO(人材担当役員)などと連携して『CEO後継者育成計画』を運営し、CEO後継者の育成・選任にコミットするという点で本質的な変化が生じていることは注目に値する。 (若杉敬明)

Ⅱ 将来のCEO育成における現在のCEOの役割:現在の利益と将来の利益

-CEOは現在の事業から利益を上げると共に、将来の利益のために手を打って置かなければならない

-将来の利益のためには、経済・社会・業界そして自社の将来を見通して5年後、10年後、20年後の事業ドメインを想定し、ビジョンを描き、それを実現する戦略を策定する。同時に、将来の事業に相応しいCEO像に向けて部下を育成する。その意味ではCEOには「先見性」と「リーダーシップ」が不可欠である。 ⇨「自社を差別化する最重要な経営資源は、経営の担い手であるCEOである」

-技術・モノ・カネも重要であるが、金余りの現代は、優れた事業にはカネが集まってくる。カネがあれば何でも買える。その前提は優れた経営、すぐれた経営者である。 優れた経営能力は希少な存在であり、市場で調達しようとすると超過収益はほとんど外部から来たCEOの報酬になってしまう。

Ⅲ CEOサクセッション・プラニングの担い手

次の四者であるプランの運営者はあくまでもCEOとCHRO/HR部門
① 現在のCEO (⇦ CFOのサクセッションはCFOが担当)
 -現CEOは、業務遂行の過程で、①CEOの要件も認識し、②社内の事情に精通している
② 取締役会
 -取締役会はCEOの選任義務を負うが内部の事情には疎い。したがって、CEOとの密接なコミュニケーションが不可欠である。
③ CHROおよびHR部門
 -HR部門は当然社内の人材に精通しており人材データベースも持っている。
④ 外部のエグゼクティブ・サーチ会社、等
-パイプラインに投入すべき人材が社内にいなければ社外の人材を調達せざるをえないので、人材サーチ会社の利用が不可欠である。

(若杉敬明)

◆D◆指名委員会憲章の事例

指名委員会およびコーポレート・ガバナンス委員会憲章
ネゲゲノミクス(株)取締役会 2014年10月14日

(注)ネオゲノミクス(NeoGenomics, Inc.)は、がん遺伝子診断検査サービスに特化する臨床検査室のネットワークを運営。細胞遺伝学、蛍光遺伝子プローブ法(FISH)、流動細胞分析法、形態学、解剖病理学、分子遺伝子検査を含むサービスを、病理学者、がん専門医、泌尿器科医、病院に提供する。)

 Ⅰ 要約
 指名およびコーポレート・ガバナンス委員会(以下「当委員会」)は、以下の責任を果たすために、当社の取締役会(以下「取締役会」)によって設立される。
  (i)取締役会の規模、構成、機能および義務を、ニーズに合致しているかという観点からレビューおよび評価する。
  (ii)取締役会および下部委員会の候補者に関する選任基準を確立し、株主から提出された候補者の検討を含め、選任基準に合致する取締役会・下部委員会のメンバーになる資格のある取締役を特定する。
 (iii)取締役が選任される次回の年次株主総会または特別株主総会での選任、またはそれら株主総会の間に発生する可能性のある欠員または新たに創設された取締役の補充を取締役会に推奨する。
 (iv)取締役会に下部委員会の委員に任命する取締役を推薦する。
  (v)取締役会に対して取締役の独立性判断基準を勧告する。
 (vi)取締役会の評価を監督する。
(vii)会社のコーポレート・ガバナンス・ガイドラインを作成して取締役会に提案するとともに、ガイドラインの遵守を監視する。
(viii)コーポレート・ガバナンスの法律と慣行、および公開会社の取締役の義務と責任について動向を監視する。

 II 当委員会の構成と運営
 当委員会は、取締役会が独立しているとみなし、ナスダックの規則に従って独立要件を満たす取締役のみで構成される、少なくとも3名のメンバーで構成される。取締役会は、毎年、欠員または新たに創設された役職が発生したときに、当委員会に任命する候補者を推薦する。当委員会のメンバーは取締役会によって任命されるものとし、取締役会はいつでも解任することができる。取締役会は、当委員会の推薦に基づき、当委員会の会議の議題を承認する当委員会委員長を指名する。
 当委員会は、当委員会が取締役候補者を特定する際に利用する人材調査会社との契約および解約については、当委員会のみが権限を持つ。これには、調査会社の料金およびその他の保持条件を承認する一切の権限が含まれる。
 当委員会は、会社の最善の利益のために適切であると判断した場合、小委員会または当委員会の委員長に権限委譲することができる。当委員会はまた、適切とみなす場合、弁護士または他の顧問と契約することができる。コンサルタントまたはアドバイザーとの契約および解約、かつコンサルタントまたはアドバイザーと料金およびその他すべての条件の契約に関して、当委員会のみが権限を有する。ただし、当委員会は、監査委員会の承認なしに、当社の独立監査人にサービスの実行を依頼することはできない。当委員会は、当委員会が決定した適切な金額を当社から受け取り、弁護士、監査人、またはその他の顧問に支払う。

 III 会議
 当委員会は、状況に応じて、ただし少なくとも年に一度は会議を開催する。当委員会の委員長は、当委員会メンバーと協議して、当委員会の会議の頻度と時間を決定し、当憲章が定めた会議の議題を設定する。
 当委員会は、その責任を遂行するために、取締役、会社の経営陣、および適切と思われるその他の者に会議への出席を求めることができる。当委員会はまた、責任を遂行するために適切である場合特定の者を会議から除外することができる。
 会議成立の定足数は当委員会メンバーの過半数(2人以上)である。法令で別段の定めがある場合を除き、定足数を満たしている場合、出席メンバーの過半数の賛成で当委員会の決定とすることができる。当委員会は電話またはビデオ会議で会合することも、また全会一致の書面による同意によって決定することもできる。定足数に足りない場合、出席している当委員会メンバーの過半数の合意により、出席者が定足数に足りるまで会議の開始を延期することができる。
 当委員会は、当委員会以外の者を幹事として任命し、議事録の作成とその保管とを委ねる。会議の議題次第は幹事が作成し、可能な限り各会合の開催前に当委員会メンバーに回覧することが望ましい。

 IV 責任と義務
  以下の事項は、本憲章のセクションⅠに要約されている責任を果たす上で、当委員会がなすべき一般的かつ定期的な活動である。これらの機能は、当委員会が追加の機能を実行し、ビジネス、立法、規制、法律、またはその他の条件の変化に照らして適切な追加のポリシーと手順を採用する可能性があることを理解した上でガイドとして機能する必要がある。当委員会はまた、本憲章のセクションⅠに要約されている委員会の目的に関連して、取締役会から委任されたその他の責任および義務を随時実行する。

◆取締役会および下部委員会の候補者
1.当委員会は、取締役会のメンバーとなる資格のある個人を探し、特定することを監視する。
2.当委員会は、取締役会および下部委員会のメンバーの基準を取締役会に勧告し、取締役会および下部委員会のメンバーとして個人を推薦するものとする。さらに、当委員会は、下部委員会の委員長を務める取締役会メンバーを取締役会に推薦するものとする。取締役会および下部委員会のメンバーを推薦するにあたり、当委員会は以下を行うものとする。

-取締役会によって承認された基準に基づいて、取締役会または取締役会下部委員会メンバーとなるための候補者の資格を検討する(各候補者の独立性に関する条件の決定を含む)(および、監査委員会メンバーの目的のために法律またはNasdaq規則の下で要求される可能性のある、強化された独立性、財務リテラシーおよび財務専門家の基準をも考慮する)。
-取締役会メンバーへの再指名または取締役会下部委員会メンバーへの再指名をする場合、当該取締役の業績を評価する。

-取締役会、会社および各下部委員会の現在の課題およびニーズに照らして、取締役会および下部委員会の構成を定期的に見直し、判断力、多様性、年齢、技能、経歴および経験の問題を考慮した上で、個人を追加または除外することが適切かどうかを判断する。
-会社のコーポレート・ガバナンス・ガイドラインに記載されている要因、または当委員会もしくは取締役会が適切とみなすその他の要因を検討する。

◆取締役会および下部委員会の評価
3.少なくとも年1回、当委員会は、取締役会および下部委員会が効果的に機能しているかどうかを判断するための自己評価において取締役会をリードするものとする。当委員会は、評価プロセスを監督し、その結果(変更提案の勧告を含む)を取締役会に報告する。
4.少なくとも年1回、委員会は、各下部委員会が作成したパフォーマンスに関する自己評価を再点検し、取締役会に対する変更提案を検討するものとする。
5.当委員会は、当委員会が取締役会または下部委員会の規模、あるいは取締役会の下部委員会構成に望ましいと考える変更がある場合、取締役会に勧告する。

◆コーポレート・ガバナンスに関する事項
6.当委員会は、会社のコーポレート・ガバナンス・ガイドラインを作成し、取締役会に勧告する。少なくとも年1回、当委員会はコーポレート・ガバナンス・ガイドラインの妥当性を見直し、再評価し、変更提案があれば取締役会に勧告する。
7.当委員会は、コーポレート・ガバナンスの動向を監視し、当委員会が適切と見なすコーポレート・ガバナンスのあらゆる事項に関して取締役会に勧告を行う、あるいは必要な行動をとる。
8.当委員会は、会社のコーポレート・ガバナンス・ガイドラインで当委員会に割り当てられたあらゆるタスクに責任を負う。
9.当委員会は、関係者が直接または間接的に重要な利害を持つ可能性のある取引または取引案をレビューし承認する。さらに、当委員会は、潜在的な利益相反を構成するものとして、取締役、執行役員、上級財務役員が弁護士またはコーポレート・セクレタリーに開示した件、および利益相反のおそれがあるとして取締役会がレビューしていない取引等をレビューし、コーポレート・ガバナンス・ガイドラインの該当する規定に従って、それらの関係または取引について、承認または不承認を決定する。
10.当委員会は、会社の企業行動倫理規範の遵守状況を監視する。これには、企業行動倫理規範の適切な遵守を確保するための会社の手続きの妥当性および有効性を弁護士と検討することも含まれる。取締役、執行役員、上級財務役員に対する会社の企業行動倫理規範の免除は、当委員会または取締役会の独立取締役の過半数によって承認されなければならない。また、当委員会は、当委員会が適切と判断した場合、企業行動倫理規範の修正を取締役会に勧告する。

◆取締役のオリエンテーションおよび継続的教育
11.当委員会は、取締役のためのオリエンテーションおよび継続教育プログラムを監視する。

◆取締役会への報告
12.取締役会の定例会合において、当委員会は、取締役会の前回の定例会合以降当当委員会が開催した会合または講じた措置について、当委員会が適切と考える勧告とともに理事会に報告するものとする。
13.当委員会は、定期的に取締役会に報告するものとする。
14.少なくとも年1回、当委員会は自らのパフォーマンスを評価し、その結果を取締役会に報告する。
15.当委員会は、本憲章の妥当性を定期的に見直し、評価し、提案された変更を承認のために取締役会に勧告する。

Ⅴ 年次業績評価
 当委員会は、本憲章に対する委員会のコンプライアンスの見直しを含む、委員会およびそのメンバーのパフォーマンスの見直しおよび評価を少なくとも年1回行う。さらに、当委員会は、少なくとも年1回、本憲章の妥当性を見直し、再評価し、当委員会が必要または価値があると考える本憲章の改善を取締役会に推奨するものとする。当委員会は、適切と思われる方法でかかる評価およびレビューを行う。    (若杉敬明訳)

 

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