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2021 ファイナンス研究会
第11回 事業ポートフォリオとM&A
Digital marketingを推進するMarketing91というサイトは、Business Portfolio – Definition, Meaning, Examples, Management”という記事で、事業ポートフォリオの有効性について解説している。そのうちの一部を紹介する。
https://www.marketing91.com/business-portfolio/#Steps-to-make-an-effective-Business-Portfolios

事業ポートフォリオ入門

◆ はじめに

ビジネスは多くの要素から成り立っており、そこにはいくつもの複雑なディテールやプロセスが存在する。ビジネスの統計データがそのことを示している。単純なアイデアだけでは手に負えない。望ましい目標を達成するためには、すべての重要な要素に注意を払わなければならない。事業ポートフォリオは、これを最も組織的、効率的、かつ結果重視の方法で行うのに役立ちます。ビジネスは様々な要素から成り立っている。ビジネスユニット、製品の生産、サービスの提供は企業の柱であるので、それらのバランスを取り十分な管理を行う必要がある。
 そこで、これらの重要な要素をすべて組み合わせて、ビジネスの成長を促進し、環境を整えるのが事業ポートフォリオの役割である。それは基本的に、企業が計画されたビジョンに到達するために取得する一連の資産として表現することができる。最もシンプルな形では、ビジネス・ポートフォリオは以下のセットとして理解することができる。
投資 製品 保有資産 サービス 事業 ブランド

 以下では、ビジネスポートフォリオをより深く理解し、あらゆるビジネスモデルのポートフォリオに関連する重要な概念を明らかにしていく。

◆ 事業ポートフォリオとは
 事業ポートフォリオとは、事業を構成するすべての主要な形態を含むだけでなく、企業の強みの見通しを立て、さらには有益な機会を活用するためのものでもある。企業がどのように投資すべきか、どれだけの費用をかけるべきかの意思決定に役立る。さらに、新製品の開発や新規事業の買収など、企業の成長を加速させる方法やそのためのあらゆる戦略を決定する。
 また、ある製品を残すべきか、捨てるべきかといったテーマについても、ポートフォリオはアドバイスしてくれる。つまり、事業ポートフォリオには、ビジネスの持続的な存続を決定し、ビジネスの飛躍的な成長を保証する、ビジネスの重要な側面がすべて含まれているのである。これで、ビジネスの目標を達成するために役立つ、結果重視のビジネスプロフィールを作る方法を理解する時が来たと思う。では、その方法を紹介する。

◆ 事業ポートフォリオと製品ポートフォリオ
 会社に単一の製品しかない場合には、事業ポートフォリオと製品ポートフォリオとは同一である。以下では、企業が複数の事業を行って多角化している場合の考え方の例である。

 ビジネス・ポートフォリオが企業の製品やサービス、財務、個々のブランドやビジネスユニットの集合であるのに対し、プロダクト・ポートフォリオは、製品の市場セグメントの組み合わせである。市場セグメントとはメーケティング用語であり、特定のグループに属する人々のことで、企業が製品を売りたい人たちのグループのことである。マーケティングマネージャーはこれらのグループに製品をアピールするためにターゲットを定める。その層は、大学卒業者でもブルーカラー労働者でもよく、法人か個人かでも良い。誰でなければならないということはない。自社の製品を買ってくれると思われる人たちの集団である。事業ポートフォリオの分析においては、市場セグメントにまで対象がおよばない。事業ポートフォリオの分析も製品ポートフォリオの分析も、企業の経済的成長(売り上げや利益など)を目指している点では共通であるが、以下の点で区別できるとされる。
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注)ビジネスユニット;特定のビジネス情報を追跡・分析および報告するために作成する論理的な単位のこと。企業において独立した戦略の下に運営される単位を「戦略事業単位(SBU)」という。

a) 成長=市場シェアマトリックス
いずれの分析においても、成長=市場シェア・マトリックスが作成され、花形、カネのなる木、問題児、負け犬の4カテゴリーが用いられる。
-事業ポートフォリオでは、各カテゴリーはさらに、セグメントの規模と事業売上高の成長とによって再分類される。
-製品ポートフォリオでは、各カテゴリーはさらに、セグメントの市場シェアと製品売上高の成長とによって再分類される

b) 戦略的事業単位(SBU)
-事業ポートフォリオ分析では、商品や市場ではなくSBUが分析の対象とされる。
-製品ポートフォリオ分析では、製品や市場が対象とされる。

両ポートフォリオ分析は、商品の種類、リスク管理など様々な面で互いに異なっている。

◆ 事業ポートフォリオの管理方法
 ポートフォリオ計画は、上記の点だけではなく、企業内の複数のチームや個人にも依存している。 巨大な企業の場合、これらのチームや個人には別々の課題が割り当てられ、より整然とした、手間のかからない作業環境を実現している。 企業のポートフォリオを適切に管理するためには、適切な知識、目標、意思決定を、企業の短期的な財務要件に合わせて調整する必要がある。 多くの事業ポートフォリオ・マネジメント関連のソフトウェアが開発されているが、それらは主に社内の業務とその対策を追跡し報告するもので、市場では支持されていない。 このソフトウェアは、ポートフォリオを計画するプロセスを分離するためにいくつかのレベルから成り立っている。 これらのレベルは、プロジェクトレベルの市場ポートフォリオ管理、企業ポートフォリオ管理、業界と競合他社のポートフォリオ管理(ICPM)である。各レベルに割り当てられたチームには、計画の複雑さを軽減するために個別のアジェンダが割り当てられている。


 (若杉敬明)

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