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2022 コーポレートガバナンス研究会 第7回「取締役会の自己評価」

Q&Aセッション

Q01:スライドp.20、「10.会⾧は、執行役会および取締役会において、議題の提案およびその優先順位の決定に関して影響力を発揮することが望ましい」とありますが、取締役会長(=社外取締役)が一方で推奨されておると認識しております。この場合、社外取締役である取締役会長が執行役会(執行サイドの会議体と理解)に影響力を発揮することが望ましいとは、どう理解すればよろしいでしょうか。

A01:取締役会の使命は企業価値を創造する目的ために様々な意思決定をすることです。その取締役会を仕切るのが取締役会会長です。取締役会の会合(いわゆる取締役会)で何を議題として議論し意思決定をするかはきわめて重要です。そのために会長は執行役員会に顔を出すなどして、執行役員の間でどのような議論がなされるかなどを監視し情報収集をします。そして、コーポレートセクレタリーと調整して取締役会の議題を決定するとともに、議題に順位を付け、どの議題にどの程度の時間を掛けるかなどを決定します。それは執行自体に影響をおよぼすことではありません。それは取締役会が、企業価値創造に向けて,貴重な時間を有効に費やすためです。会長は、何をするにおいても、企業価値創造を念頭に置いていなければならないといわれています。

Q02:スライドp.22、「22. 会⾧は、委員会の議⾧を推薦し、委員会メンバーの承認を求める」とあります。一方、第四回の資料(NYSEガイドライン)では、指名/コーポレートガバナンス委員会が委員会の構成および各委員会の委員長&メンバーを決定する、とあります。

A02:取締役会の会長は、原則、筆頭独立取締役で、指名/コーポレートガバナンス委員会の委員長であることが、近年のアメリカ大企業のベストプラクティスの一つであると言われています。指名/コーポレートガバナンス委員会は、取締役会委員会の存廃、委員会メンバーおよび委員長を決めます。このことから、指名/コーポレートガバナンス委員会が、企業のガバナンス体制の頂点に君臨している言われています。取締役会の会長は、職権上、すべての取締役会委員会のメンバーであり、取締役会委員会の会合にも出席し、その活動を監視しています。事実上、各委員会のメンバー構成、委員長の指名に影響力を持っています。それだけですと、取締役会会長は万能なトップでやりたい放題にならないかとの心配が生じますが、取締役会には明文化された取締役会憲章があり、各委員会にも憲章がありますので、取締役会会長が独断専行と言うことはありません。

Q03::本資料はDilligent社の見解、第四回はNYSEガイドラインと出典が異なりますが、両見解をどのように理解・整理するのがよろしいでしょうか。

A03:以上のように、最近のアメリカの大企業においては、取締役会の会長は、CEOと並ぶスーパーマンであるとされています。このような人材はそんなに簡単に見つかりませんので、どのような企業でもそのような人材を獲得できるわけではありませんが、このような任務を全うできる人材が現代株式会社の取締役会会長のモデルとされています。

【参考】McKinsey and Companyの”Mindsets and Practices of the Best CEOs“という論文に次のような記述があります。

ボード・エンゲージメント:取締役がビジネスを支援する
 株主を代表する取締役会の使命は、長期的な価値創造に向けた経営陣の努力を監視し、導くことです。調査によると、健全なコーポレートガバナンスの実践は、より高い市場評価など、業績の向上につながることが分かっています。また、効果的な取締役会は、活動家投資家(アクティヴィスト)を撃退することができます。このような利点があるにもかかわらず、多くの CEO は、自社の取締役会を、ある CEO が我々に語ったように「必要悪」であるとみなしている。取締役会を率いるのは取締役会会長であるが、その役割をCEOが担う場合(北米企業では一般的)でも、取締役会の独立性は不可欠である。しかし、優秀なCEOは、取締役会の経営への助言の質を高めるために、以下のような有益な手段をとることができる。
効果的であること:将来を見据えたアジェンダを推進する 取締役会の時間を最大限に活用するために、優秀なCEOは、取締役会の議長と協力して、将来を見据えた取締役会のアジェンダを策定する。このようなアジェンダでは、取締役会が、従来の受託者責任(法律、規制、監査、コンプライアンス、 リスク、業績報告)を超えて、戦略、M&A、テクノロジー、文化、人材、回復力、外部コミュニケーション などの幅広いテーマについて意見を提供するよう求めている。これらのトピックに関する取締役会のメンバーの外部からの意見は、経営陣の権威を損なうことなく、経営に役立てることができる。さらに、CEO は、取締役会と経営陣が、人材の見直しや戦略の刷新など、関連する活動を同じ時期に行うよう にする必要がある。(後略)

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第7回のコーポレートガバナンス研究会のテーマは「取締役会の自己評価」である。取締役の責務は、経営陣から優良な経営を引き出し株主に最大の成果をもたらすことである。したがって、その責任は重大であるので取締役会の行動を統制する活動が不可欠であり重要である。しかし、取締役の上位の機関はない。そこで取締役会は自らを律しなければならない。そのために、取締役会が、自らの行動を律するために行う活動の一環が取締役会による取締役会の自己評価である。わが国では、コーポレートガバナンス・コードにより取締役会の実効性評価と呼ばれている。その呼び方の違いに、コーポレートガバナンスに関する日米の意識の相違が感じられる。9月の研究会では、米国における取締役会の自己評価の動きを紹介する。

Ⅰ.取締役会の自己評価

ハーバード・ビジネス・レビューの論文が冒頭で次のように述べている。(「取締役会は自身の業績をどのように評価すべきか」David Lacker、Taylor Griffin、Brian Tayan、Stephen Miles著 2017 年 3 月 1 日)

「ニューヨーク証券取引所は、すべての上場企業の取締役会が効果的に機能しているかどうかを判断するために、少なくとも年1回、自己評価を実施することを義務付けている。この自己評価の目的は、取締役会が適切な人員と指導力を持ち、取締役がその責務を効果的に果たし、重要な監督要件を満たすために信頼性の高いプロセスが実施されていることを確認することである。」

なおわが国では、コーポレートガバナンス・コード原則4-11が「取締役会は、取締役会全体としての実効性に関する分析・評価を行うことなどにより、その機能の向上を図るべきである」と述べ、補充原則4-11③で「取締役会は、毎年、各取締役の自己評価なども参考にしつつ、取締役会全体の実効性について分析・評価を行い、その結果の概要を開示すべきである」としている。要するに、取締役会全体の実効性について分析・評価を行い、その結果の概要を開示すべきであるということである。

「私たちの調査によると、多くの取締役会評価が不適切であることが指摘されている。コンサルティング・アドバイザリー会社であるMiles Groupと共同で行った187の取締役会の調査では、ほとんどの取締役会評価が、個々の取締役のパフォーマンスの低さを示しており、是正できていないことがわかった。取締役会評価を実施している企業の約半数(55%)しか、取締役個人を評価しておらず、自社が取締役個人の業績を正確に評価していると考えているのは、約3分の1(36%)に過ぎない。

本調査によれば、取締役は、自社の取締役会のダイナミクスにかなり大きな不満を表明している。取締役会が新しい視点を受け入れていると強く思う人は約3分の2(64%)、取締役会が全取締役の能力を活用していると強く思う人は半数、取締役会が反対意見を許容していると強く思う人は半数以下(46%)であった。46%が、一部の取締役が取締役会の決定に大きな影響を及ぼしていると考えている(「取締役会の中の取締役会」と呼ばれるダイナミズム)。一般的な取締役は、少なくとも1人の取締役は、その人物が効果的でないため、取締役会から解任されるべきだと考えている。

この問題は、評価のプロセス自体に根ざしています。取締役会の評価は、通常、取締役会の構造とプロセスの見直しから始まり、多くの場合、社内の法律顧問や外部の法律顧問によって行われる。通常、上場企業がレビューを要求される項目とそれに関連する基準のチェックリストが含まれる。

取締役会評価プロセスの中で、より困難ではあるがより価値を生み出す部分は、個々の取締役の貢献度、取締役間の対人関係やグループダイナミクスを見直すことである。上記のデータが示すように、この作業はしばしば厳密な方法で行われておらず、多くの企業では完全に省略されている。

取締役会は、どのようにすれば取締役の業績をより良く評価できるのであろうか。徹底的な評価は、以下を考慮する必要がある。(後略)」

Ⅱ.望ましい取締役会評価のあり方

取締役会のあり方は、企業の行う事業は企業によって異なるので、取締役会の自己評価のあり方も異なるであろう。ここではその一つの示唆である「取締役会評価に関する10のベストプラクティス」(by Lena Eisenstein))を紹介する。

1.すべての取締役会メンバーは、年1回の取締役会評価の意義を理解し、受け入れ、支援する必要がある

新しい方向に進むことは、最初は、常に厄介なものである。取締役会は、取締役会メンバーの前で、自己評価を行うことの重要性を説明するのが望ましい。なぜそれが必要なのか、そして、そのプロセスから会社が何を得られるのかを説明するのである。

2.各取締役は、自分自身と仲間を評価することを約束する必要がある

取締役会のメンバーは、自分自身を評価することには抵抗がないが、仲間を評価することには若干の違和感を覚えることが多いようです。取締役会の自己評価プロセスが効果的であるためには、すべての取締役が、自分のエゴを入り口でチェックし、できる限り正直かつ客観的であることに同意する必要がある。その際、会社全体の利益のために、個人の長所と短所を見極めるという心構えが必要である。

取締役は、取締役会評価委員会の委員長または独立した第三者だけが相互評価の結果を読むことを知っていれば、より安心することができる。

3.取締役会は、評価の実施について、十分に計画された体系的なプロセスとすることを定める必要がある

毎年ほぼ同じ時期に取締役会自己評価を実施すると定め、その日付を取締役会カレンダーに記入する。  結果を収集し評価する専門の委員会を設置することが有益であると考える取締役会もある。一定の要件を満たした個人または委員会が運営機関となり、評価プロセスを進行させ完了するようフォローアップする。

4.取締役会メンバーおよび執行スタッフの役割を決める

取締役会の自己評価プロセスを、指名・ガバナンス委員会、特別委員会、取締役会メンバー、または独立した第三者に委任する。取締役会のメンバーまたは取締役会会長は、このプロセスに関与することができる。また、取締役会は、業務執行取締役(CEO)やその他の主要なスタッフを評価に含めることもできる。

5.取締役会の評価目的を達成するのに役立つ評価ツールを選択する

さまざまな評価ツールを確認し、最もストレートな回答が得られるものを選択してください。 有効で効率的かつ正確な情報をもたらす、簡単な自己評価アンケートを使用してください。 取締役会が注目すべき情報を目指す。

6.目的を明確にする

取締役会の自己評価を通じて、具体的に何を達成したいと考えていますか? おそらく、取締役会の構成を変更する必要があると考えているのであろう。 最近の課題を再検討し、それをどのように処理したかを再評価して、将来同様の状況に対処することをお勧めする。 対処しなければならない重要なトピックや、強化が必要な関係があるかも知れない。 重要なことは、取締役会全体を同じページに入れ、達成したいことを理解することである。

7.評価の方法を決める

自己評価の方法について、取締役会メンバー全員が納得できるよう、同じ見解を持つよう努力すべきである。書面によるアンケート、1対1のインタビュー(取締役会議長または独立した第三者が進行役)、またはオンライン調査も選ぶことができる。また、複数の方法を組み合わせることも可能である。

8.自己評価を実施し、結果を分析する

遅延を回避し、プロセスをできるだけ迅速に進める。 結果を評価するときは、現在の状況と近年の出来事を考慮してください。 取締役会への報告書を作成する。 まず結果を確認し、取締役会にフィードバックを提供する最善の方法を検討するよう評価実行委員会に依頼してもよい。

9.評価によって表面化した懸念事項に取締役会が対処できるように、フォローアップ作業を行う。

結果を評価すると、問題や課題が表面化することがある。 結果を文書化し、懸念のある領域に対処するための計画を策定する。 これらの課題を年間の戦略計画に組み込みむ。 重大な例外事項や問題は、取締役会全体で議論する議題に入れる。

10.取締役会の評価プロセスを開示するかどうか、その結果を公表するかどうか、誰が受け取るべきかを決める

必須ではないにしても、取締役会が取締役会の評価プロセスを開示し、その結果を公開するのが一般的である。 取締役会は、資金提供者である株主とのみ結果を共有することを決定して、取締役会がその責任を真剣に受け止めていること、および堅固で適格な経営陣の構築に取り組んでいることを示すこともできる。

Ⅲ 取締役会議長の責任と資質

望ましい取締役が実現するか否かは取締役会議長-筆頭独立取締役-次第というのが最近の共通の認識である。それゆえ有能で強力な議長が求められる。それを簡潔に述べた読み物を紹介する。ここでは会社、取締役会、会長(Chairperson)と訳したが、原文では対象は株式会社だけでなく組織一般であるので組織、理事会、理事長となっている。

Five Essential Chairman Responsibilities by June 15, 2020 Board Management

https://sprigghr.com/blog/board-management/5-essential-chairperson-responsibilities/

取締役会長の5つの重要な責務

取締役会の会長は、取締役会を効果的に運営し、会社を成功に向けて軌道に乗せるために重要な役割を果たす。 これらの構成要素が着実に前進し続ける上で不可欠な役割を果たしているため、どの会長も確実に遂行すべき重要な会長としての責任がある。

会長の役割

議長の主な役割は、取締役会は会社の方向性と戦略を決定する。それに基づいて会社の業績目標を定め、経営陣に執行を委ねる。取締役会の会議を運営し取締役会の決定を導くのは議長としての取締役会会長のである。その意味では、取締役会会長は会社の事業を保証することになる。通常、会長は取締役会によって任命され、取締役会の要求に応じて、常勤または非常勤の役割を担います。時には、小規模の会社では、会長の役割をCEOが兼任することもあるが、このような兼務は、証券取引所に上場している公開会社では推奨されない。

会長の必須責務

会長の具体的な責務は、会社独特の取締役会の構造や計画によって異なるかが、全体として見るとどの会社にも共通な役割がある。

・総会と取締役会の両方で議長を務めることが期待されている。取締役会では、議題の順番を決めること、取締役会が正確でタイムリーかつ明確な情報を受け取るようにすること、個々の取締役の貢献度を把握し、全員が平等に意思決定に関与できるようにすることなどが含まれる。会議の種類にかかわらず、議長は、議論が合意に向けて収束するように会議を誘導し、合意に至った後は全員が合意された内容を理解できるように議論を総括する必要がある。

・また、取締役の構成と委員会構造を決定する上で主導的な役割を果たすことが期待されている。これは、取締役会全体の規模、業務執行取締役と非業務執行取締役とのバランス、年齢、性別、経験、人格などのバランスを定期的に見直すことを意味する。

・最後に、株主やステークホルダーとの効果的かつ建設的なコミュニケーションを確保することが期待されている。

効果的な会長としての主な資質

会長が強いかどうかを最終的に決定するのは、取締役会を管理する能力の有効性であり、取締役会と株主はじめ諸ステークホルダーとの関係を管理する能力である。優れた会長としての決定的な資質としては、以下のようなものがある。

  1. 会議の議長としての能力

取締役会は、必ずしも頻繁に開催されるものではないが、そこで議論され下される決定は、会社の将来の成功に長期的な影響を及ぼす。そのため、取締役会を効果的に運営することは非常に重要である。有能な議長は、すべてのビジネスディスカッションが会議のアジェンダに沿って行われること、すべてのメンバーの声を聞いて議論すること、明確な意思決定に達して全員一致で受け入れること、そしてその合意事項をフォローアップして、取締役会の決定に沿った事業遂行がなされているかどうかを確認しなければならない。

  1. ビジネスを理解すること

優れた議長は、ビジネス、その文化、規模の大小を問わず、その会社を構成する人々やプロセスを徹底的に理解している必要がある。また、より広く業界を理解し、会社と取締役会をあらゆる事態に備えさせることができなければならない。議長が経験豊富であれば、会社が直面する機会や潜在的なリスクを迅速に特定することができる。そのような状況が発生した場合には、早い段階で取締役会と関わり、可能な行動方針など解決策を議論することができる。

  1. 支配することなく影響力を与える能力

議長の最も重要な責務のひとつは、すべての取締役が組織のためにそれぞれの能力を発揮していることを確認することである。これは、すべての取締役が議論や意思決定プロセスに貢献し、たとえそれが議長の見解と相反するものであっても、各取締役が自分の意見を述べることができるようにすることを意味する。取締役会内、および議長と他の取締役会メンバーとの間に効果的なコミュニケーションを確立することが重要である。強力で効果的な議長は、自らの野心や信念が議論を支配することのないよう注意しつつ、常に挑戦を受け、オープンな議論を楽しむ姿勢を持たなければならない。

  1. 自己主張のできる性格であること

議論を支配することを避けるのは重要であるが、特に取締役会の他のメンバーを指導する役割を担っている場合、強力な議長は背景に隠れていてはいけない。最終的に、議長は取締役会の業績に責任を負うことになる。効果的な議長は、他のメンバーに力とサポートを与え、フロアを開放する一方で、自分自身は弾力的で率直であることが必要である。このようなバランスを保つには、強い個性が必要である。経験豊かな取締役会であっても、困難に直面することがあるので、こうした困難に対処し、取締役会を回復に導く議長の能力は、組織にとって極めて重要である。

  1. 良好なコミュニケーション

おそらく、最も不可欠な議長の責務の一つは、すべての株主やステークホルダーとの効果的なコミュニケーションを維持することである。効果的なコミュニケーションを通じて、議長は取締役会の他のメンバーの信頼を獲得し、取締役会の場で明瞭さを提供することができる。

議長が会社の戦略をステークホルダーに効果的に伝え、その結果、ステークホルダーに会社の将来の方向性に対する信頼を与えることができれば、外部からの圧力を抑えることができます。必要に応じてステークホルダーと強いコミュニケーションを保つことができる有能な議長は、株主の圧力にも立ち向かうことができる。ただし最終的には、取締役会と事業の長期的なパフォーマンスを向上させるという、会社の主要な優先事項を見失わないようにしなければならない。

まとめ

議長の本質的な責務は、以下に集約される:

  • ・取締役会においてリーダーシップを発揮する
  • ・取締役会の構成と発展に対する責任を負うこと
  • ・取締役会のために適切な情報を確保する
  • ・取締役会を効果的に計画し、実施する
  • ・取締役会の業務に全取締役を参加させること
  • ・取締役会がその主要な任務と責任に集中し続けるようにすること
  • ・取締役会のパフォーマンスを評価し、改善するプロセスに全取締役を参加させること
  • ・新任取締役の招聘と育成を監督する。

不適切なリーダーシップとガバナンスが、取締役会や企業の業績不振や破綻と密接に関連している場合、議長の役割は極めて重要である。(若杉敬明訳)

 

Ⅳ.取締役会評価票の質問項目の例

Corporate Governance Guide Pull-out I Guidance on Board Leadership and Effectiveness

    https://bursa-malaysia.s3.amazonaws.com/reports/Pullout-I-25-Appendix-III.pdf

企業は以下の質問項目を参考に、自社に合った質問項目を作成し取締役会評価票を作成する。

1.取締役会は、会社の課題と成功を、取締役および株主(あるいはステークホルダー)に説明していますか?
2.会社には、短期および長期 (5年間) の経営戦略がありますか?
3.取締役会の議題には、会社の経営戦略と優先事項が適切な表現で記載されていますか?
4.取締役会は、取締役会の戦略と目標を効果的に実施する会社のポリシーを、取締役会室スタッフに説明していますか?
5.取締役会は、取締役会の予算に関する財務報告書を作成し、リソースを割り当て、人的資源を活用するとともに、開示をしていますか?
6.取締役会は、年齢、性別、人種、民族、財務、不動産、財産管理、法律、投資などの専門分野などの多様性に配慮していますか?
7.個々の取締役会メンバーが、取締役会の期待についてどの程度認識しているかをどのように評価しますか?
8.個々の取締役会メンバーが、取締役会の期待についてどの程度認識しているかをどのように評価しますか
9.取締役会の議題として、通常の議題と新しい議題に対処するための取締役会の議題の計画に、どの程度満足していますか?
10.取締役会への取締役の準備レベルにどの程度満足していますか。
11.取締役会メンバーは、委員会の委員を務めていますか。
12.取締役は、会議の前に書面による報告を受け取りますか?
13.すべての取締役会メンバーは、取締役会の重要な議論に積極的に参加していますか?
14.取締役会は、取締役会メンバーのさまざまな視点を受け入れることについて、どの程度協力的ですか?
15.取締役会がすべての共同決定を支持する可能性はどのくらいありますか?
16.取締役会は、潜在的な取締役候補者のパイプラインを形成するために、積極的に新しい取締役を募集していますか?
17.取締役会は、新しい取締役会メンバーをオリエンテーションするための指定されたプロセスを持っていますか?
18.次の文にどの程度同意しますか: 取締役会は、オリエンテーション・プロセスを再評価または改善する必要があります。
19.取締役会は、取締役の教育と育成のための明確なプロセスを持っていますか?
20.取締役会メンバーは、お互いに特別な友情を楽しんでいますか?
21.取締役会が取締役会の役割と業務執行取締役(CEO、CFOなど)の役割を明確に区別していることに同意しますか?
22.取締役会が業務執行取締役との間で、定期的にフィードバックを提供および受領することに同意しますか?
23.取締役会と業務執行取締役が相互に誠実で信頼できる関係にあると思いますか?
24.取締役会が、新規および既存のポリシーについて業務執行取締役にガイダンスと説明を提供することに同意しますか?
25.会社の機能の状況について業務執行取締役から発信される情報およびその詳細について、取締役会は明快に理解していると思いますか?
26.取締役会は、業務執行取締役を評価するための正式なプロセスを持っていますか?
27.業務執行取締役の評価プロセスは改善が必要だと思いますか?
28.取締役会が業務執行取締役を評価する責任を果たしていると思いますか?
29.取締役会が、業務執行取締役の業績を主に会社の戦略的目標と優先事項に基づいて評価していると思いますか?
30. 取締役会が業務執行取締役を支持し、業務執行取締役の仕事に対して率直に感謝を表明していると思いますか?
31. 取締役会が業務執行取締役に専門能力開発の機会を利用するよう提案し、奨励することに同意しますか?
32. 取締役としての役割において、取締役会があなたに何を期待しているかについて、全体的な認識をどのように評価しますか?
33. 取締役会や委員会の会合に定期的に出席していますか。
34. 取締役会の前に、議事録、報告書、その他の資料を読むのに十分な時間を費やしていますか?
35. 会社の細則と管理ポリシーをどの程度知っていますか?
36. 他の取締役会メンバーに意見を表明し、仲間の取締役会のアイデアに基づいて構築するように頻繁に奨励することに同意しますか/反対しますか?
37. 他の取締役会メンバーがあなたの意見やアイデアを表明するように勧めていることに同意しますか?
38. 取締役会での傾聴と関与のレベルを評価してください。
39. 取締役会でのコミットメントをフォローアップする能力について説明してください。
40. 取締役会の決定に関連する機密保持のレベルを評価します。
41. あなたの心の快適さを考慮した場合、他の役員と異なる意見を述べる可能性はどの程度ありますか。
42. 自分が反対票を投じた取締役会の決定を、共同して支持する可能性はどの程度ありますか?
43. 会社のビジョンや使命をコミュニティ内で積極的に推進することに賛成ですか/反対ですか?
44. 関連する問題に関する情報を、他の取締役会メンバーと頻繁に共有していますか?

(若杉敬明訳)

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