日本では内部監査というと従業員の仕事の監査をイメージしがちですが、米国の株式会社では、経営陣に対する監査も内部監査人の重要な仕事です。そこでどのような問題が内部監査で指摘されるのかをChat GPTに尋ねて見ました。以下はその回答です。(若杉敬明)
米国企業の内部監査人は、単に「現場の手続違反」を探すだけではありません。とくに経営陣については、経営判断そのものの当否というより、経営陣がガバナンス、リスク管理、内部統制を適切に機能させているかを検証します。IIA(内部監査人協会)の現行基準でも、内部監査の中心はこの3領域に対する独立・客観的なアシュアランスです。
典型的には、次のような問題が見つかります。
1. Management Override(経営者による内部統制の無効化)
本来の承認手続をCEOやCFOが飛ばす、決算直前に異例の仕訳を入れる、特別な取引だけ通常ルールを適用しない、といったケースです。これは米国で特に重視される問題です。PCAOBも、経営陣は統制を直接・間接にoverrideできる立場にあるため、重要な不正リスクだとしています。
2. 業績数値をよく見せるためのバイアス
売上を早期計上する、引当金を少なくする、減損を先送りする、予算達成のため会計上の見積りを楽観的にする、といった問題です。必ずしも最初から「不正」とはいえませんが、経営陣の判断が一方向に偏っていないかを内部監査は調べます。PCAOBも、経営者による会計見積りの意図的なバイアスをmanagement overrideの典型例として挙げています。
3. 重要なリスクを取締役会に十分報告していないこと
たとえば、サイバー攻撃、法令違反、重大訴訟、製品事故、顧客離反などのリスクについて、経営陣が認識しているにもかかわらず、取締役会への報告が遅い、情報が楽観的に加工されている、といったケースです。IIA基準でも、重要なリスク情報が経営陣と取締役会の間で適切に伝達されているかは重要な監査対象です。
4. 権限・承認プロセスの形骸化
大型投資、M&A、重要契約、価格決定などについて、形式上は承認プロセスがあるものの、実際にはCEOや事業部長の意向で結論が決まっているケースです。「制度はあるが、実質的なチェックが働いていない」という問題です。
5. 利益相反や関連当事者取引
役員自身やその関係者が関係する会社との取引、役員個人に利益が生じる契約、接待・贈答、第三者業者との不透明な関係などです。特に関連当事者取引は、不正・management overrideの観点から重点的に見られます。
6. コンプライアンス違反を黙認する経営姿勢
「売上を上げるためなら多少のルール違反は仕方ない」というようなtone at the topが存在する場合です。贈賄、販売慣行、製品安全、労務、環境規制などで、経営陣のプレッシャーが現場の違反を誘発していることがあります。
7. リスク管理上の問題を知りながら放置すること
内部監査やコンプライアンス部門から何度も問題を指摘されているのに、経営陣が改善措置を取らないケースです。これは単なる「統制上の欠陥」より重大で、経営陣のaccountabilityの問題になります。
8. 内部監査に対する圧力・情報制限
内部監査人に対して「そこは調べるな」「表現を弱めてほしい」「監査委員会には報告しないでほしい」といった圧力をかけるケースです。IIAは、内部監査が経営陣から不当な影響を受けず、取締役会に直接アクセスできることを重視しています。
重要なのは、これらの多くは「横領を発見した」というような明白な不正ではないことです。むしろ米国企業で内部監査が経営陣について発見する重要な問題は、
「経営陣が自ら作ったルールを自ら例外扱いしている」
「リスク情報を上に正確に伝えていない」
「業績達成への圧力によって統制を弱めている」
という種類の問題です。
そして、ここが監査委員会との関係で非常に重要です。通常の従業員の問題なら経営陣に報告できますが、CEO・CFOなど経営陣自身が問題の当事者である場合、内部監査責任者(CAE)は監査委員会に直接報告できなければならない。米国企業でCAEの独立性と監査委員会へのfunctional reportingが重視される最大の理由の一つは、まさにこの点です。(以上Chat GPT)
要するに「内部監査は、経営陣による不正だけでなく、経営者による統制の形骸化、リスク情報の隠蔽・過小評価、業績圧力による判断の歪みを発見する役割を持つ」ということのようです。内部監査委員会に相当する存在が中途半端な存在である日本とは根本的な相違がありますね。(若杉敬明 2026/10/3)

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