JCGR 日本コーポレートガバナンス研究所

コラム

「説明責任」は誤訳、Accountabilityの真の意味

日本では、アカウンタビリティの日本語訳として「説明責任」の語がコーポレートガバナンス・コード始めひろく用いられているが、元の英語であるAccountabilityは日本人が意味している内容より、はるかに広く深い意味がある。そのことはわが国のコーポレートガバナンス改革においても深刻な影響を与えていることは憂慮に値する。米国企業におけるアカウンタビリティ(Accountability)は、単に「責任がある」という状態を超え、自身の行動、決定、そしてその結果に対して正当性の証明責任を持ち、結果引き受けることを意味する。これは米国の企業文化において非常に重視される概念である。アカウンタビリティが含む内容は以下の通りである。以下は、Gemini Advanced 2.5 Pro(experimental)によるアカウンタビリティ全般に関する調査のうち、企業に関するaccountabilityの部分を紹介するものである。    若杉 敬明

はじめに

アカウンタビリティは、アメリカ合衆国の民主的統治および社会組織における基本的な原則である。その本質は、権力や責任を有する個人や機関が、報酬や制裁を課す権限を有する権威に対して、自らの行動、決定、および業績について証明責任を負う義務を意味する。この概念はラテン語の「computare」(「数える」)に由来し、当初は、預けられた金銭や財産の実際の数を報告する行為を指していた。この意味は、財務や予算の責任において現在も残っている。しかし、この概念は「証明責任」というより広い意味——行動を証明し正当化すること——へと発展した。アメリカ合衆国の文脈では、責任は単一の概念ではなく、政治、法、企業、社会システムに織り込まれた多面的な要請である。これは、政府の正当性、市場の健全性、社会の一体性を維持するための信頼の基盤を成している。アメリカのシステムは、権力が責任を持って行使され、権力を持つ者が有権者、法的枠組み、株主、一般市民を含む多様なステークホルダーに対して証明責任を果たすよう設計された、正式なものと非公式なもの、内部と外部を網羅する複雑なメカニズムのネットワークに依存している。この証明責任は、選挙での敗北や法的制裁から市場の影響や社会的非難に至るまでの結果の可能性と結びついており、証明責任の不可欠な二面性を形成している。アメリカにおける証明責任を理解するためには、その理論的基盤、異なる領域における適用、それを強制するための特定の機関とメカニズム、およびこの重要な原則の内在的な課題と継続的な進化を検討する必要がある。

1. 結果へのオーナーシップ(Ownership of Results)
 割り当てられた業務やプロジェクトに対して、単にタスクをこなすだけでなく、その最終的な結果に責任を持つことである。成功すればその貢献を認識し、失敗した場合はその原因を分析し、改善策を講じる責任を負う。
2. 説明責任(Answerability/Being Called to Account)
 自身の行動や判断について、上司、同僚、チーム、あるいは会社全体に対して明確に説明できる状態であること。なぜそのように行動したのか、どのようなプロセスを経たのかなどを論理的に説明する義務が含まれる。
3. コミットメントの遂行(Fulfilling Commitments)
 設定された目標や期限に対して、必ず達成するという強い意志を持ち、実際にそれをやり遂げること。できなかった場合には、その理由と今後の対策を明確に伝えることが求められる。
4. 透明性(Transparency)
 業務の進捗状況や課題、懸念事項などを関係者に正直かつオープンに報告すること。問題が発生した場合に隠蔽せず、早期に共有し、解決に向けて協力する姿勢が重要視される。
5. 継続的な改善(Continuous Improvement)
 自身のパフォーマンスを定期的に振り返り、 strengths and weaknesses を把握し、能力向上や業務遂行の質の向上に努めること。失敗から学び、次に活かす姿勢もアカウンタビリティの一部である。
6. 規律・方針の遵守(Adherence to Policies and Procedures)
 会社のルール、方針、倫理規定などを理解し、遵守すること。法規制や業界標準への準拠も含まれる。

>> アカウンタビリティとレスポンシビリティ(Responsibility)の違い

 しばしば混同されるが、米国企業ではこの二つを区別することが重要視される場合がある。
レスポンシビリティ(Responsibility):特定のタスクや職務を遂行する「責任」そのものを指す。「〇〇を担当している」といった、役割や職務範囲に基づいた責任である。複数の人が同じタスクに対してResponsibilityを持つこともありる。
アカウンタビリティ(Accountability): タスクやプロジェクトの「結果」に対する説明責任と「結果」を引き受けることとを指す。通常、最終的なアカウンタビリティは一人に帰属することが多い。タスクが完了しなかったり、問題が発生したりした場合に、その結果に対して誰が責任を負うのか、という側面に重きが置かれる。

◆ 米国企業におけるアカウンタビリティは、個人の自律性、プロフェッショナリズム、そして組織全体の成果達成のために不可欠な要素と考えられている。。アカウンタブルな人材は信頼され、キャリアアップの機会も得やすい傾向がある。

参考論文:米国におけるアカウンタビリティ

page top

サインイン

新規登録

パスワードをリセット

ユーザー名またはメールアドレスを入力してください。新規パスワードを発行するためのリンクをメールで送ります。