JCGR 日本コーポレートガバナンス研究所

コラム

第二次世界大戦後における米国企業取締役会の動向

ChatGPT・Geminiにより第二次大戦後の米国企業のガバナンスを10年ごとにトレースした。

Ⅰ.1940 年代後半、米国企業の平均的な取締役会は通常、次のような状態であった。

インサイダーによる支配: 取締役会は、CEO やその他の会社の幹部を含む内部関係者によって支配されることがよくあった。 社外取締役はあまり一般的ではなく、取締役を務める者は経営陣や会社と密接な関係にあることが多かった。
限られた独立性: 現代の慣行と比較して、取締役会の独立性はあまり重視されていなかった。 取締役の多くは会社またはその経営陣と長年の関係を持っており、それが時として利益相反や独立した監督の欠如につながる可能性があった。
ガバナンスにおける役割: 現代の慣行と比較して、取締役会がガバナンスにおいて果たす役割はより限定的であった。 取締役は、経営上の決定を積極的に監督するよりも、承認することに重点を置くことが多かった。
委員会構成: 通常、取締役会委員会の数は少なく、存在する委員会は現代の慣行に比べて専門性が低かった。 たとえば、監査委員会の存在はしらていたが、独立性がない場合が多かった。
株主との関係: 現在に比べて取締役会と株主との交流は少なく、株主アクティビズムも一般的ではなかった。 機関投資家もコーポレートガバナンスに対する影響力が小さかった。
限定的な開示: 企業の透明性は低く、財務およびガバナンスに関する開示要件は緩かった。

◆全体として、1940 年代後半の米国企業の平均的な取締役会は、安定性、継続性、そしてコーポレート・ガバナンスの実践における大きな変化や革新を推進するよりも、現状を維持することに焦点を当てていたことが特徴でした。

Ⅱ.1950 年代、米国企業の平均的な取締役会は通常、次のような状態であった。

インサイダー支配: 取締役会は、最高経営責任者(CEO)をはじめとする会社のトップ・エグゼクティブを含むインサイダーによって支配されていることが多かった。社外取締役は一般的ではなく、取締役会のメンバーは経営陣や会社と密接な関係にあることが多かった。
限られた独立性: 取締役会の独立性は、現代の慣行と比較してあまり重視されていなかった。多くの取締役が会社やその経営陣と長年の関係を持ち、それが時に利益相反や独立した監督の欠如につながることもあった。
ガバナンスにおける役割: 取締役会は、現代の慣行と比較して、ガバナンスにおいて、より限定的な役割しか果たしていなかった。取締役会は、経営陣の意思決定を積極的に監督するよりも、むしろ承認することに重点を置くことが多かった。
委員会構成: 取締役会が設置する委員会の数は一般的に少なく、また設置される委員会も現代の慣行と比較して専門性が低かった。監査委員会はそれほど重要視されず、独立性も低かった。
株主との関係: 取締役会は現代と比較して株主との交流が少なく、株主アクティビズムも一般的ではなかった。機関投資家のコーポレート・ガバナンスへの影響力も小さかった。
限られた情報開示: 企業の透明性は低く、財務情報およびガバナンス情報に関する公開要件も少なかった。

◆全体として、1950 年代の米国企業の平均的な取締役会は、安定性、継続性、そしてコーポレー ト・ガバナンス慣行における大きな変化や革新を推進するよりも現状維持に重点を置くという 特徴を持っていた。

Ⅲ.1960年代、米国企業の平均的な取締役会は、通常以下のような特徴を持っていた。

構成: 取締役会は、最高経営責任者(CEO)をはじめとする会社のトップ・エグゼクティブを含むインサイダーで占められていることが多かった。社外取締役は少数であり、取締役会メンバーは経営陣や会社と密接な関係にあることが多かった。
独立性: 取締役会の独立性は、現代の慣行と比較してあまり重視されていなかった。多くの取締役が会社やその経営陣と長年の関係を持ち、それが時に利益相反や独立した監督の欠如につながることもあった。
ガバナンスにおける役割: 取締役会は、現代の慣行と比較して、ガバナンスに関して果たす役割は限定的なものであった。取締役会は、経営陣を積極的に監督するというより、経営陣の意思決定を承認することに重点を置くことが多かった。
委員会構成: 取締役会が設置する委員会の数は一般的に少なく、また設置される委員会も現代の慣行と比較して専門性が低かった。例えば、監査委員会は重要視されることもなく、独立性も低かった。
株主との関係: 取締役会は現代と比較して株主との交流が少なく、株主アクティビズムも一般的ではなかった。機関投資家のコーポレート・ガバナンスへの影響力も低かった。
多様性: 取締役会は、性別、人種、経歴の点で多様性に欠けることが多く、取締役の多くは同じような経歴を持つ白人男性であった。

◆全体として、1960 年代の米国企業の平均的な取締役会は、安定性、継続性、現状維持に重点を置くという 特徴を持っていた。

Ⅳ.1970 年代、米国企業の平均的な取締役会は、コーポレート・ガバナンスに関する社会の風潮が変化して来たのを反映して、過去数十年間と比較していくつかの変化を遂げ始めた。1970 年代の平均的な取締役会の主な特徴は以下の通りである:

独立性を重視する傾向: 会社や経営陣と関係のない独立取締役の重要性が認識されるようになった。企業は、取締役会の独立性と監督機能を強化するため、社外取締役をより多く選任するようになった。
専門委員会の設置: 取締役会は、監査委員会、報酬委員会、指名・ガバナンス委員会などの専門委員会を設置し、特定の分野ごとに監督に注力するようになった。これらの委員会は独立取締役で構成されることが多かった。
株主アクティビズム: 1970年代には、株主の利益擁護とコーポレート・ガバナンス慣行の変更を求める株主の声が高まり、株主アクティビズムが活発化した。このため、取締役会の業務がより厳しく監視され、取締役会の説明責任を求める圧力が高まった。
規制の変化: 1970 年代には、1970 年証券投資家保護法(Securities Investor Protection Act of 1970)や 1974 年従業員退職所得保障法(Employee Retirement Income Security Act: ERISA)など、コーポレート・ガバナンスや取締役会の役割に影響を与える重要な規制改革が成立した。
アカウンタビリティと透明性の重視: コーポレート・ガバナンスの実践においてアカウンタビリティと透明性が重視されるようになり、取締役会はコーポレート・ガバナンスの実践において透明性を確保することが求められるようになった。
取締役会の構成の進化: 取締役会がより独立で多様な構成へと進化し始めたことに反応して、企業はより幅広い経歴や専門知識を持つ取締役を選任するようになった。

◆全体として、1970年代は、透明性の向上と株主のエンパワーメントを目指すコーポレー ト・ガバナンスの広範な傾向を反映して米国企業の取締役会は、全般的に独立性、専門性、アカウンタビリテ ィの向上を特徴としていた。

Ⅴ.1980 年代、米国企業の取締役会は全般として進化を続け、過去数十年と異なるいくつかの重要な特徴が見られた。 1980 年代の平均的な取締役会の主な特徴には次のようなものがある。

独立性の向上:取締役の独立性を高めることが引き続き重視されており、企業は自社やその経営陣と関係のない社外取締役をより多く任命しようとした。 これが取締役会の監視とアカウンタビリティを強化する方法とみなされたからである。
取締役会委員会の拡大: 取締役会は、特に監査、報酬、指名/ガバナンスなどの分野で、委員会の数と範囲を拡大し続けました。 これらの委員会は、監督と説明責任を向上させるために、独立した取締役のみで構成されることがよくありました。
株主価値の重視:企業の行動が株主の利益と一致していることを確認するため、取締役会が戦略的意思決定と監督にさらに関与するようになり、株主価値の最大化がますます重視されるようになった。
株主アクティビズム: 1980 年代にも株主アクティビズムは引き続き重要な力であり、株主は自らの利益を主張し、コーポレートガバナンスの慣行の変更を推進することにおいてより積極的になった。 これには、取締役会の独立性とアカウンタビリティを向上させるための取り組みが含まれます。
取締役会の多様化: 性別、人種、背景の点で取締役会の多様性は徐々に増加してはいたが、その後の数十年に比べると変化は遅いと言わざるをえなかった。
規制の変更: 1980 年代には、1984 年のインサイダー取引制裁法の導入や 1934 年の証券取引法の改正など、コーポレート ガバナンスに影響を与えるいくつかの規制の変更が見られた。これらの規制強化の目的は、コーポレート ガバナンスの透明性とアカウンタビリティを向上させることであった。

◆全体として、1980 年代の米国企業の取締役会は、透明性の向上と株主の権限付与に向けたコーポレート・ガバナンスの広範な傾向を反映して、独立性、専門性、アカウンタビリティが高まっていることが特徴である。

Ⅵ.1990 年代、米国企業の平均的な取締役会は進化を続け、過去数十年と異なるいくつかの重要な特徴が見られた。 1990 年代における取締役会の全般的な特徴には次のようなものがあります。

独立性の向上:取締役の独立性を高めることが引き続き重視されており、企業は自社やその経営陣と関係のない社外取締役の選任に走った。 取締役会の監視とアカウンタビリティ強化の方法と考えられたからである。
取締役会委員会の拡大: 取締役会では、特に監査、報酬、指名/ガバナンスなどの分野で、委員会の数と範囲が拡大し続けた。 これらの委員会は、監督とアカウンタビリティ向上させるために、独立取締役のみで構成される傾向があった。
株主価値の重視:企業の行動が株主の利益と一致していることを確認するため、取締役会が戦略的意思決定と監督にさらに関与するようになり、株主価値の最大化がますます重視されるようになった。
株主アクティビズム:  1990 年代においても株主アクティビズムが引き続き重要な力であり、株主は自らの利益を擁護し、コーポレートガバナンスの慣行の変更を推進することにおいてより積極的になった。 取締役会の独立性とアカウンタビリティの向上がその大義であった。
取締役会の多様化: 性別、人種、背景の点で取締役会の多様性は徐々に増加したが、その後の数十年に比べるとまだまだ遅々として進んでいないという状態であった。
規制の変更: 1990 年代には、財務報告とガバナンスの実践に新たな要件を課した 2002 年のサーベンス オクスリー法の検討など、コーポレート ガバナンスに影響を与えるいくつかの規制変更の兆しが見られた。

◆全体として、1990 年代米国企業における取締役会は、全般として、透明性の向上と株主の権限付与を目指すコーポレートガバナンスの広範な傾向を反映して、独立性、専門性、説明責任が増大するという特徴を持っていた。

Ⅶ.2000 年代、米国企業の取締役会全般は進化を続け、過去数十年と異なるいくつかの重要な特徴が見られた。 2000 年代の平均的な取締役会の主な特徴には次のようなものがあります。

独立性の向上:取締役の独立性を高めることが引き続き重視されており、企業は自社やその経営陣と関係のない社外取締役をより多く任命しようとした。 これは取締役会の監視とアカウンタビリティを強化する方法と考えられていたからである。
取締役会委員会の拡大: 取締役会においては、特に監査、報酬、指名/ガバナンスなどの分野で、委員会の数と範囲が拡大し続けた。 これらの委員会は、監督とアカウンタビリティを向上させるために、独立取締役のみで構成することが一般化した。
株主価値の重視:企業の行動が株主の利益と一致していることを確認するため、取締役会が戦略的意思決定と監督にさらに関与するようになり、株主価値の最大化がますます重視されるようになった。
株主アクティビズム:  2000 年代にも株主アクティビズム引き続き重要な力として作用し、株主は自らの利益を主張し、コーポレートガバナンス慣行の変更を推進することに邁進した。その中心は、依然として 取締役会の独立性とアカウンタビリティの向上である。
取締役会の多様化: 性別、人種、背景の点で取締役会の多様性にたいする関心は高まったがその実現は遅れていた。
規制の変更: 2000 年代には、財務報告とガバナンスの実践に新たな要件を課した 2002 年のサーベンス オクスリー法の採用など、コーポレート ガバナンスに影響を与えるいくつかの規制の変更が見られた。

◆全体として、2000 年代の米国企業の平均的な取締役会は、透明性の向上と株主の権限付与に向けたコーポレート・ガバナンスの広範な傾向を反映して、独立性、専門性、アカウンタビリティへの関心が高まっていることが特徴であった。

Ⅷ.2010 年代、米国企業の平均的な取締役会は進化を続け、過去数十年と異なるいくつかの重要な特徴が見られた。 2010 年代の平均的な取締役会の主な特徴は次のとおりである。

多様性の進展: 取締役会の構成における多様性、特に性別、人種、民族の多様性がますます重視されるようになった。 企業は取締役会における女性や少数派の代表を増やす努力をした。
独立性の強化:取締役会は、独立取締役の選任に励み、CEO と取締役会長の役割を分離することにより、独立性を強化することに引き続き注力した。
株主アクティビズム: 株主の積極的な活動は 2010 年代に新たな高みに達し、株主は自らの利益を主張し、コーポレートガバナンスの慣行の変更を推進することにおいてより積極的になった。 これには、取締役会のアカウンタビリティ、役員報酬プラン、環境および社会的責任を改善する取り組みが含まれる。
持続可能性と企業の社会的責任 (CSR) への注目: 環境問題や社会問題に対して企業が積極的に役割を果たすべく、取締役会は持続可能性と CSR をますます重視されるようになった。
テクノロジーとサイバーセキュリティの監視: 事業運営におけるテクノロジーの重要性の増大とサイバー攻撃の頻度の増加を考慮して、取締役会はテクノロジーとサイバーセキュリティのリスクの監視にますます重点を置くようになった。
役員報酬改革: 取締役会が、役員報酬の慣行に対して精査をするようになり、役員報酬決定における透明性とアカウンタビリティの向上につながった。
取締役会の自己評価と刷新:取締役会は取締役会の自己評価と刷新をより重視し、会社を効果的に監督するために適切なスキル、経験、多様性を備えた取締役で取締役会が構成されるようになった。
開示と透明性の向上: 企業がガバナンスの構造と実践について株主や一般の人々にさらに多くの情報を提供することで、コーポレートガバナンスの実践における開示と透明性が高まる傾向が続いている

◆全体として、2010 年代における米国企業の取締役会は、透明性とステークホルダーの関与の向上に向けたコーポレートガバナンスの広範な傾向を反映して、多様性、独立性、アカウンタビリティが高まっていることが特徴であるといえる。

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